約束【桃】 (ページ3)

今日:3 hit、昨日:9 hit、合計:104,651 hit

. ページ3

.

そしてついに引っ越し前日。

今日はさっくんの送別会。

いつもはそんなに仲良くないお友達も今日はみんなさっくんの側にいて、なかなか話せない。

…でもさっくんが楽しそうに笑ってるからいっか。

そんなことを思いながらジュースを飲んでると、ひーくんが隣に来た。

照「寂しくなるな」

『うん、でも絶対また会えるし！』

照「…そうだよな」

『ってかありがとね。
お別れ会開いてくれて、こんなにたくさんの人集めてくれて』

きっとひーくんが呼びかけてくれなかったらこんなに集まらなかっただろうっていうぐらい、クラスのほとんどの人が参加していた。

照「佐久間の為だし。いいってことよ！」

『正直、最初はひーくんのこと嫌いだったけど見直しちゃった』

照「え、なにそれ。いくら俺でも傷つくんですけど」

そう言って笑い合ってると気が付いたらさっくんが目の前にいた。

佐「A、今日二人で一緒に帰れる？」

『うん？もちろんだよ！』

最初から一緒に帰る気満々だったわたしに、勇気を振り絞るかのように言うさっくんを不思議に思っていると、

ひーくんは何かを悟ったかのように「頑張れよ」とポンとさっくんの頭を撫でて行く。

しばらくして送別会はお開きとなり、さっくんと一緒に家路に着いた。

こうやってさっくんと一緒に帰るのもこれが最後なのか…と思うと急に寂しさが襲ってきて、涙が溢れそうになるのを必死に耐えて歩く。

最後は笑顔でお別れするって決めたんだ。

　

さっくんも同じ気持ちなのか、お互い終始無言のまま家の前まで着いてしまった。

『さっく「あのさ、」

わたしの言葉を遮って何かを決意したような真剣な眼差しでさっくんは話し始めた。

佐「俺、Aのこと好きだから。
大人になったら絶対迎えにくるから。

…だから大きくなったら結婚しよう！」

その言葉が嬉しくて堪えきれずに溢れ出す涙。

『うん。わたしもさっくんのことが好き。約束だよ！絶対迎えにきてね』

涙で指切りした私たちの心は真っ白で、何色にも染められていなかった。

.