この気持ちに終わりはあるのかな

♯3 ページ3

あの夜以降も仕事は忙しくてすれ違いの生活が続いたが、今まともに太輔を見れないからかえって良かったかもといつになく仕事に力を入れて取り組んだ



.....俺に知られたくないヒトが居る.....






明日は大切な記念日…
あまり記念日を気にしない俺でも太輔の誕生日とこの日は忘れてはいけない大事な日

いつもは俺に合わせて居酒屋中心に外食するけど今回は太輔の好きなイタリアンのお店を予約して、普段恥ずかしくて言えないけど素直になって太輔に感謝の想いを伝えるんだ


まだ…間に合う…はず…








記念日当日、朝からレギュラーの収録があり、夕方には終わる予定
その後太輔と一緒に予約してるお店に行くまで時間があるので、太輔が気に入った物が見つかればプレゼントとして贈りたいと考えていた俺は、デートを兼ねて買い物に行くつもりでいた






1本目の収録が無事に終わり、そろそろ2本目収録でスタッフさんが呼びに来る時間なのに楽屋に太輔がいない
タバコ吸いに行ったかな…と思い、太輔を探しに出る




喫煙所に向かう途中あまり使われていない楽屋近くの自販機の陰に人影が見え、後ろ姿でもわかる大切な人

「…ふじっ……」
声をかけながら近づくと太輔の陰に隠れて背の低い女の人が居た…


咄嗟に身を隠してしまう
あの人は最近スタッフでついてくれてる子で、人見知りの太輔にしては割と話が出来る数少ない女性スタッフ

封じ込めていた嫌な思いがふっと溢れ出てきた…
あの電話の相手なのか？
何故か瞬時に浮かんでしまった…
呼びに来たのに声が掛けれず、ましてや立ち去ることも出来ず、その場で立ち尽くす俺


何か楽しげに話してる声が聞こえてくるけど、次から次へと思考が落ちていた俺には全く入ってこなく、時々無意識で拾う単語だけが耳を掠めた


これ以上聞いていたらこの後の仕事に支障をきたすのは自分、避けなきゃいけないと壁伝いに手を這わせながら楽屋へ何とか戻った

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