この気持ちに終わりはあるのかな

♯5 ページ5

何件かまわって太輔に似合いそうな帽子を見つけ、これなら普段使いにも可能だなって思い購入し、時計を見れば予約の時間まで20分もなくて

「わっ！思ったより時間がない！」

プレゼントを庇いつつ、人混みの中を掻き分け目的のお店にむかっていれば、見覚えのある服を着た人が向こうから歩いてくる...
隣にはやはり見覚えのある女性

会話を楽しんでいる2人は近づいている俺には気づかない...
笑顔で何気に前を向いた途端、まさかって表情になりひろ...と口元が動いた

「.......」
目の前にはさっき人目を避けるように会っていた太輔とスタッフ

はは...やっぱりそうだったのか...

少しずつ侵食していた疑いがハッキリしたのもあり、思ったより取り乱すことなくじっと太輔とスタッフの顔を交互に見て、その横をすり抜けた

「ひ...北山！」
周りに大勢の人がいるから声を潜めつつ呼び止める太輔を無視して歩く

すると左腕を捕まれ後ろに重心が移動して少しよろけた
１回深呼吸して腕を掴んでる方へ目を向け
「何でしょうか？」
抑揚のない声をだす

「あっ...」
「手を離してくれませんか？」

目をそらさずやや低めの声で離せと伝える

隣にいるスタッフもどうしようとオロオロしてる
「.....とにかく離せ！」
腕を思いっきり振り切って太輔の手を外し、人混みの中をすり抜ける様に走った
後ろの方では2人が何か言ってる様な声も聞こえるが、2人から早く離れたくて必死になって走り続けた

角を曲がった所に空車のタクシーを見つけ、すぐさま乗り込み身を低くして外を見れば...
太輔が角を曲がってそのままタクシーの横を走り抜けていく

それを見届け運転手に行き先を告げ、スマホを取り出し予約してたお店に急用で行けなくなったと連絡を入れ、通話を切った途端全身の力が抜けて、シートに身体を沈めた

.....最悪...記念日に失恋だよ...


突然スマホが鳴り出す
ディスプレイを見なくても誰からかわかる
ゆっくりとそこへ目をやれば...やはりな
でも出る気にはなれず暫く見つめていると音が切れた

すぐさまサイレントにすると途端ぶるっと震える
又かかってきた…
あっそうだ...太輔にキャンセルしたこと伝えなきゃ
...でもいいか...どーせ来る気なんてなかったんだろう…

今は声も聞きたくないな...

震えが止まったスマホをぼーっと見つめてれば、今度はLINEが届いた

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