Love in Palace 2

♯64 皇太子の暴力 ページ18

皇居へ帰ってはきたけど部屋には向かわず、昔玉ちゃんに教えてもらった小高い丘へと足を運んだ
あの時も落ち込んでいた俺を励まそうと玉ちゃんが教えてくれた秘密の場所

暫くそこにいると背後からカサカサと音を立て近づいてくる気配
ミツと呼ばれた声に.....そうだよな...
...ひょっとしたら藤ヶ谷かもってよぎった自分に苦笑い

玉ちゃんに何処いってたの？と聞かれたから昔俺が住んでた世界と答えた

「妃殿下の藤ヶ谷 宏光じゃなく、普通の高校生北山 宏光が住んでいた世界」
「...どうだった？」
「もう皆と違うんだよね 街も歩けない...宮中で暮らしてたら別人になってたよ」
「...」
「好きなことして、好きなものを食べて、好きな場所へ行く .....そう生きたいけどもう無理かな？」
「生きられるよ...」

慰めで言ってくれる玉ちゃんだけど…無理なのは分かってる

「宮中に住んでて玉ちゃんも辛いだろ？」

すると首を振り
「ミツさえいれば俺は安らげる」
「.....」
「そんなに辛かったら外に出るかい？」
「え？」
どういう事だ？

「ミツが望むなら全て捨てる」
「...」
「ミツが居れば安らげれるから全て諦める」

あまりにも真剣な表情で伝えられ、これ以上ここに居るのはマズイ
そう思った俺は鞄を手にして、戻るよとその場から立ち去ろうとしたら玉ちゃんに手首を掴まれた

「っ！」
「ただ...ミツが望んでるなら」

逃しはしない...そんな目で見つめられ動けないで居ると
目の端に小走りにこちらに向かってくる藤ヶ谷が見え、そのまま玉ちゃんの前まで行きいきなり左頬を殴った

あっという間の出来事だったけど2人の間に入り
「たいちゃん何をするんだ！」
と玉ちゃんを庇うように立つが
藤ヶ谷は俺に目も向けず玉ちゃんの方を睨みつけ
「見つけたならすぐ連れて来るのが当然だろう」
と攻め立てた

「待って、玉ちゃんも知らなかったんだよ」

更に俺が話しかけると ギロっと俺の方を見て黙れと一言
そして俺の鞄と手首を掴みその場から引っ張り連れ出される
藤ヶ谷の指がくい込んで痛い

「おい！放せよ 痛い やめろ」
「黙れ！！」
「なぁやめろよ…」

どんだけ訴えても離してもらえず、近くに停めてあった車に投げ飛ばされるように助手席に押し込められて、すぐさま発進した

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