Love in Palace

♯19 里帰り その3 ページ20

「いったぁ…」

机とベッドの間に間抜けな格好で横たわる藤ヶ谷を見て、少しやりすぎたかなって思ったけど
「俺の勝ち！」
「ったく...暴力妻だな」

なんかこんな風に藤ヶ谷と触れ合えることのが嬉しかった

「そろそろご飯だから早く行こ！」

俺は扉の方へ行こうとしたら…
「おい！ 助けないのか？」
「えっ⁈ 別に自分で立てるでしょ？」
「皇太子妃は皇太子を見捨てるんだぁ」
「何だよそれ...」

しゃーないなって藤ヶ谷に手を差し出し
「ほらっ」
「ん…」
藤ヶ谷が俺の手を取ったトタン引っ張られて藤ヶ谷の上に倒れちゃった

「わっ……っ！」
藤ヶ谷はしてやったりな顔をしたけど、急に真剣な顔して見つめてきた…
この体制やばい！
て…照れる 早く藤ヶ谷から退かなきゃ、って起き上がろうとしたら藤ヶ谷に抱きしめられちゃった
「…」
「……」
気まずい雰囲気になり藤ヶ谷の手が俺の後頭部に回り、引き寄せられて行く…

あっ…唇がふれちゃうよ…
俺のファーストキスが
後数ミリで奪われるっ…





バンッ！
「ミツ〜ご飯でき……！ ごっごめん！」
バンッ！ ダッダッダッ…


「……」
「……」
健永に見られちゃったよ


慌てて藤ヶ谷から離れ、誤魔化したけど完全に誤解してるな



「ご…はん…だって 先に行くからっ」

藤ヶ谷の顔が見れなくて部屋をあとにした

俺のファーストキスは奪われなかったけどなんか残念に思ってる自分もいて
でもなんで藤ヶ谷が？
俺の事好きじゃないのに…又からかうつもりだったのかな…

藤ヶ谷の行動がよくわからなくて、さっきまで楽しかった気持ちが萎んでいった




さっきの事が気になって食事に集中出来ないよ…

藤ヶ谷は隣に座ってるから表情まで読み取れないが、俺みたいに意識はしてないみたい
今も母ちゃんに美味しいと褒めたりしながら話をして食べてる…
反対に健永なんて俺と藤ヶ谷の顔を交互に見ては顔赤くしてご飯食べてるよ
俺も赤くなってるんだろうな…


食べたか食べてないかわからない状態で食事も終わり、お風呂も済ませ後は寝るだけ
母ちゃんが藤ヶ谷に気を使い母ちゃんが寝てる部屋でと進めたが…

「お義母さんお気遣いなく。宏光と協力して寝ますので」だと！！
協力って何だよ〜
ちらっと健永見たら更に顔赤くして
お前が藤ヶ谷と寝るわけじゃないのになんで赤くなってんだよ！


おやすみと挨拶して、先に部屋へ入った俺は無言でベッドに直行し横になって布団をかぶった
…先に寝た方が勝ちだ…

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