♯37 ページ38
予告通り太輔は金曜日に俺の元に帰ってきた
すっかり第二の家となったホテルのスイートで幸せな夜と土曜日を過ごし、あっという間の日曜
「日曜に働くなんて残念だよ」
お昼前、いつもならローブ姿で俺をご機嫌に構っている太輔が、きっちりとしたスーツ姿でうんざり顔
重要な取引相手とのビジネスランチパーティーに出席するために準備をしているのだ
「お仕事なら仕方ないですね ネクタイしましょうか」
「頼むよ」
ささやかなのに俺の言葉で彼はすぐ元気になる
太輔と恋人同士になってはや5ヶ月
こういうところはいつまでも変わらず、そしてそれが俺の幸せとなり、愛しさが増す
「宏光はネクタイを結ぶの上手だよね」
「仕事柄もあるかもしれませんけど」
布には人より詳しいだけに扱い方も心得てる方だ
上質なシルクのネクタイを結ぶのはお手のもの
ネクタイを締め終えると待っていたかのようにお礼代わりの軽いキスをされ、そのまま長身で包み込むようにして、緩く抱きしめられる
なかなか腕の拘束を解かない彼の背中をぽんぽんと叩き、仕事へ行くよう促す
名残惜しげに離れた太輔とエントランスまで一緒について行き、振り返った太輔の頬にキスをして見送った
座面の広いソファーに座り、持参のスケブを手に取る
忙しい恋人を待つ間、仕事と趣味を兼ねて絵を描くようになった
太輔は俺の絵が大好きらしく、描いてる時は邪魔をせず、近くに座って飽きることなく見ていたりする
俺の手書き風の柄が入った本館用のテキスタイルは、ホテル側の細かい要望に合わせて最終調整を先月終えたばかり、やっと本格的に生産が始まった
完成したら太輔に内緒で泊まりに来ようと計画中
普通にゲスト目線で仕事の出来栄えを見てみたいのだ
後で感想を伝えたらビックリしてくれるかな
口元を綻ばせ水彩色鉛筆を走らせているとインターフォンのチャイムが鳴った
時計に目をやれば太輔が戻ってくるにしては少し早い時間だ
「はい…」
怪訝な表情でドアを開ければ、そこに友輔さんの姿が
一瞬固まった
「休日にお邪魔してすいません……入っても宜しいですか?」
「は、はい」
慌ててドアを大きく開けて、友輔さんを中に通す
大股でリビングへと向かう後ろ姿は、どことなく緊張をはらんでいる
太輔が居ない間に彼がやってきた理由の想像がつくだけに俺は唇をきつく噛んだが、それでも無理に顔を上げて彼の後を追った
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pearl(プロフ) - Mielさん» Mielさんいつもコメありがとうございます。ほんといい子ですよね(T_T)だからこそ最後は何事にも変え難い幸せが舞い降りるはずです!その幸せには勿論Fさんも一緒じゃないとね(≧∇≦*)長くなり移行しますが、続きの方も楽しんで貰えるよう頑張りますね〜 (2019年6月23日 20時) (レス) id: 66ae99b85e (このIDを非表示/違反報告)
Miel(プロフ) - perlさんこんにちは。切なすぎて泣きそうです。宏光はなんていい子なんでしょう…太輔気付いてくれるかな?早く宏光の想いに気付いてあげてほしい。続き楽しみにしてますね。 (2019年6月23日 15時) (レス) id: 7b98925cc0 (このIDを非表示/違反報告)
pearl(プロフ) - 充瑠さん» 充瑠さんコメありがとうございます。等々切ない展開に突入していましました(><)1人で考え込んでしまったKiさんはもう少しこの辛い状況が続きます…lastハピエンを迎えるので、この先も見守って下さい。いつもありがとうございます(≧∇≦*) (2019年6月21日 12時) (レス) id: 66ae99b85e (このIDを非表示/違反報告)
充瑠(プロフ) - こんばんは。あぁぁ悲しい展開になっていて、胸が切ないです。特に42話が、甘いのに苦しかったです。2人の行方を静かに見守っています。 (2019年6月21日 0時) (レス) id: 5cca4c3768 (このIDを非表示/違反報告)
pearl(プロフ) - mimotaさん» mimotaさん!ご褒美と言って頂ける事があたしへのご褒美です!いつもありがとうございます(≧∇≦)相変わらず「王子」光線出まくりですよね(^^;今まさに2人は蜜月の中に居ますが…そろそろ姫に泣いて貰う時が近づいてます。又遊びに来てくださいね〜 (2019年6月8日 19時) (レス) id: 66ae99b85e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pearl | 作成日時:2019年3月27日 13時