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▼.繋ぐ環 ページ9

『ねぇ、知っているかい。
相手に環状の物を贈るっていうのは、その相手を自分だけのものにしたいっていう独占欲の表れなんだそうだよ』


着替えの終わり、手に持って悩むそれは、太宰にそう言われてプレゼントされた、細身の首飾り。銀の飾りがあしらわれたそれは、悔しいかな社員方に言わせればよく似合っているらしい。

……でも彼奴、昨日も女の人口説いてたし。一応恋人の私なんかより、ずっと綺麗な人を。そんな人に貰った“独占欲の表れ”の贈り物なんて、嬉しくもなんともない。


「……今日は、良いか」
「おや、なんで?」


気持ちが気持ちだし、片付けてしまおうとしたところで聞こえた声。
……いつの間に入ってきたんだ、こいつ。
そう思いながら声の方を見ると、太宰がおはよう、と笑った。そして、私の手から首飾りが抜き取られる。


「あ、」
「着けてくれないの?」


私、君に似合うものを選んだつもりだけど。
太宰はそう言って私を見る。彼の真顔が今は怖い。怒ってるように見える。
こんなの、半分脅しだ。


「……着ける」
「ん。私が着けてあげるよ」


太宰はまた満足そうな笑顔を浮かべ、私の背後に回り、私の首に首飾りを着ける。銀鎖の、ひやりとした感覚。思わず体が震える。後ろで、かちりと環が繋がれる。

そして。


「ぅわっ」


すーっと首筋を撫でられた。びっくりして出した変な声はまるで乙女のそれじゃない。後ろで、太宰がくすくすと笑っていた。


「いやぁ、Aのうなじが綺麗だったから、つい」


でも、と太宰は続けながら後ろから腕を回して、私を抱き締めた。首にかかる髪の毛が擽ったい。

耳元で、声が聞こえた。


「Aは、耳が好きだよね」
「え、」


何をするつもりだ、と身構える……のも間に合わず、耳に息が吹き掛けられる。体がぞくりと震える。耳朶に口付けて、時々息を吹き掛けながら、彼は私の耳で遊び始めた。


「や、やめ、」
「なんで?
だってA、私がどれだけAを好きか、わかってくれてないじゃない」


しまいには、唇と唇で挟むように、耳を食まれる。ちろ、と舌が耳を掠めた。
その熱さに、思わず力が抜けて崩れ落ちそうになるも、太宰が抱き締めているために辛うじて姿勢を保てていた。

彼は全部お見通しなのだ。私が首飾りを着けようとしなかった理由が、本当は嫉妬していただけだって。

本当に独占欲を持っていたのは、私と彼、お互いに。




2019/2/16 梛霧

*2019/8/5 微修正

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硝子屋(プロフ) - 猫また猫さん» 了承ありがとうございます。リクエストですね、少々お待ちください…… (2020年2月24日 23時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - すみません夢主ちゃんと社長は結婚していない設定でお願いします (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - 硝子屋さん» リクエスト失礼しつれいしますね!!福沢社長で子どもを預かる話をリクエストしたいです社長と夢主ちゃんは結婚している設定で (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
- あ、全然混浴でなくても大丈夫です!無理をさせてしまいすみませんでした (2020年2月24日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - 乱歩信者さん» リクありがとうございます!少々お待ちください…… (2020年2月20日 21時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:硝子屋+ソーダ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月25日 6時

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