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「A、好きって言って」
頷いただけの私に、太宰はむっとした顔でそう言う。
私は仕方なく、目線を逸らして口を開いた。
無理だ、相手の目を見て愛を呟くなんて。
「わ、私も、好、……っ」
突然言葉が遮られたのは、突然口を塞がれたから。
唇に触れた柔らかいそれの正体に、頬が熱くなるのを感じる。
唖然と恥ずかしさが入り混じった目線を太宰に投げ掛けると、太宰はいつもの愉しげな笑みで、私を見つめていた。
「Aは、本当にキスが苦手だよねぇ。
ほら、早く好きって言わなきゃ」
そう言いながら、太宰は何度も軽やかに触れるだけのキスを雨のように求めてくる。
それでも懸命に言葉を紡ぐことを選んだ私の思考は正常なのか異常なのか。
「好、っ、……だざ、……っ、ちょっと!!」
私は息切れしてきて、太宰の口を片手で塞ぐ。
すると、太宰は少しキョトンとした顔をして、そしてすぐににんまりと笑みを浮かべた。
「……A、可愛いよ」
「う、うっさい!
好きって言えば良いんでしょ?」
「そうだねぇ」
口は塞がれたままの太宰が頷くのを見て、私は息を整える。
そして、ふい、と視線を横にずらして小さく呟いた。
「……好き」
「声が小さい。ダメ」
太宰のダメ出しに、私は少し声を大きくして「好き」と告げれば、今度はちゃんと目を見ろと言われた。
一回で言ってくれれば良いのにとため息をつきながら、私は太宰と目を合わせる。
その途端、心臓がどきりと高鳴った。
それは思いの外、太宰が真剣な顔付きをしていたから。
そう、真面目にしていれば普通に格好いいのだ。
「ほら、早く」
「え、あ、……す、すき」
そう言えば、太宰はにこりと笑って口を塞いでいた私の手を優しく掴み指を絡ませて、いとも簡単に地面に私の手を縫い付ける。
そして、艶っぽい笑みを浮かべ______。
「よく出来ました」
その言葉と共に、次々とキスを落としてくる。
少々抵抗しようとすると、深めのキスまでされて完全に力が抜けてしまい、ああもうこれは完敗だと、私は太宰を受け止めることにしたのだった。
2018/1/27 梛霧
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硝子屋(プロフ) - 猫また猫さん» 了承ありがとうございます。リクエストですね、少々お待ちください…… (2020年2月24日 23時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - すみません夢主ちゃんと社長は結婚していない設定でお願いします (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - 硝子屋さん» リクエスト失礼しつれいしますね!!福沢社長で子どもを預かる話をリクエストしたいです社長と夢主ちゃんは結婚している設定で (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
猫 - あ、全然混浴でなくても大丈夫です!無理をさせてしまいすみませんでした (2020年2月24日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - 乱歩信者さん» リクありがとうございます!少々お待ちください…… (2020年2月20日 21時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:硝子屋+ソーダ | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月25日 6時