92話 ページ46
全速力で部屋へ戻り、持参したカバンを引っ掴んで、誰もいないことを確認して中身をひっくり返す。ゴトン、と音がして、使用人勉強に使っているノートや筆入れ、その他身の回りのものが落ちる。
マチつきのカバンの底に、手を突っ込む。底には布が貼ってあって、それを取り除くとファスナーが出てくる。所謂、二重底というやつだ。ファスナーを開く。中に入っているのは一枚の紙で、『もしものために』と書いてあった。この字は多分、総統だ。
息を吐いて裏返す。そこには丁寧な字でメッセージが書いてあった。読む。
『もし、何か不測の事態が起こったら
____________まぁ、自分でなんとかしろ』
ぐしゃり、と紙を握り潰される。床に叩きつけて、頭の中で上司に対する暴言、暴行、誹謗中傷、悪口などを思い浮かべ、馬鹿野郎、と叫んだ。
_______大ピンチだった。
♢ ♢ ♢
髪につけた連絡用の超型通信機に、『帰ったら殴る。ぐーで殴る。危ないからこの機械は燃やす。頼んだことは、調べろ』という旨の言葉を地獄の夜のような低い声で言って、用済みになったそれを焼却炉に放り込む。先ほどの紙も、憎しみを込めて放り込む。
ぼうっ、と一度火が大きくなって、自国との繋がりは消えた。はぁ、とゴミ処理場の片隅で膝を抱えて座り込む。
_______まずいことになった。
この国における私という存在は、当然だが全てが虚偽だ。いくらゴタゴタがあったとはいえ、城に入れたのが奇跡のレベル。この国の戸籍もないし、なんならほぼ不法侵入に近い。……だって、国に入る時入国審査官にお酒を飲ませて前後不覚にさせて強引に入国したし。
宿屋の娘さん、アンナさんの友人という設定ではあるけど、それは正直何の法的根拠もない。まずい。とてもまずい。
けど、まずいまずい言ったって何も事態は好転しない。
_______ひとまず、情報を集めよう。
そう決意して朝食を取りに行くと、運良くカティアさんと出会ったので、片付けついでに彼女が経験したという身辺調査とやらについて教えてもらった。聞けば、結構がっつり細かく調査がされるらしい。
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すみれ - 続編おめでとうございます!この作品とても好きです! (2022年10月23日 21時) (
レス) @page2 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あの、ちょいちょき面白くてクスッと笑ってしまう所がありとても好きなお話です。これから続きを読んできます！ (2022年7月19日 21時) (レス) @page50 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - めっちゃこの小説が大好きで、この小説を読むでいる時間が一番幸せです(^-^)これからもよろしくお願いします (2021年9月16日 16時) (レス) id: dab527b906 (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - スカ一さん» はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。 (2021年9月16日 6時) (レス) id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
スカ一(プロフ) - サンセットマリンさん» おはようございます、お世話になっております。ご了承頂きありがとうございます。では、今回の件はこれにて終了とさせて頂きたく思います。また、作者名、作品名を伏せて事の経緯の説明を当方の作品内でさせて頂いてもよろしいでしょうか？ (2021年9月16日 6時) (レス) id: c3f5308968 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サンセットマリン | 作成日時：2021年9月7日 18時
