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91話 ページ45

ラディアさんじゃなければ、この場にいるのは彼だけだろう。そう思って声をかければ、こつん、と背中に額が当てられた。……どうやら合っているようだ。

 しかし、振り返ろうとすると、手でそれを静止された。再び前を向く。擦るのを再開する。

 この場合、何と声をかければいいのか、最適解がわからなかったので、こう口を開いた。



 「えっと……私は何も見てませんし、何も言いません。でも、ここにいてもいいですか?」



 掃除があるので、と言えば、微かな頷きの後、背中に何やら生暖かい液体が染み込んでいく感触があった。普段なら気にするが、今は特に気にならない。




 部屋の中に、音のない泣き声が染み込んでいく。




♢ ♢ ♢


 _______結局その後、ラディアさんが戻ってきても私から離れなかったぶるーくさんは、私の背中を枕にしながら眠ってしまった。

 助けてください、とラディアさんに言ったら、9割困り、1割嬉しそうに、ごめんなさい、と言われ、代わりに、毛布が手渡された。

 ここで寝ろと?と言うと、明日はお休みにするから、と言われた。……まぁ、どっちにせよ動けそうになかったので了承して、大変寝にくかったがどうにか眠った。

 というか、ご遺体があった部屋で寝るの精神に悪いし不謹慎すぎやしないだろうか?……今更か。



♢ ♢ ♢



 変な体制で寝たせいで目覚めた時には全身筋肉痛になっていた。

 けど、気づいた時にはぶるーくさんはいなくて、驚いたことに私はベッドの上に寝ていた。

 でかいベッドだなー、と思って、それが一度だけ見たぶるーくさんのものと気づいた時には心臓が飛び出るかと思った。もちろん、悪い意味でのドキドキで。

 慌ててベッドメイキングして、彼に見つかる前に部屋の外へ出る。

 出た途端にバタバタと使用人が忙しなく走り回っていることに気づいて、適当な人を捕まえて一体これはどうしたことかと尋ねる。返ってきたのは焦りの表情と言葉。







 「どうしたって_______決まってるでしょう!身辺調査、身体検査に面談_______つまり、使用人の一斉見直しよ!」







 ひっかかったら即死刑のね!と言って慌ただしく走り去っていくメイドを見送りながら、その意味を寝起きの頭で処理して、









 「……………………やば」









 
 たらり、と冷や汗が自分(潜入したスパイ)の頬を伝った。

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すみれ - 続編おめでとうございます!この作品とても好きです! (2022年10月23日 21時) (レス) @page2 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あの、ちょいちょき面白くてクスッと笑ってしまう所がありとても好きなお話です。これから続きを読んできます! (2022年7月19日 21時) (レス) @page50 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - めっちゃこの小説が大好きで、この小説を読むでいる時間が一番幸せです(^-^)これからもよろしくお願いします (2021年9月16日 16時) (レス) id: dab527b906 (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - スカ一さん» はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。 (2021年9月16日 6時) (レス) id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
スカ一(プロフ) - サンセットマリンさん» おはようございます、お世話になっております。ご了承頂きありがとうございます。では、今回の件はこれにて終了とさせて頂きたく思います。また、作者名、作品名を伏せて事の経緯の説明を当方の作品内でさせて頂いてもよろしいでしょうか? (2021年9月16日 6時) (レス) id: c3f5308968 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サンセットマリン | 作成日時:2021年9月7日 18時

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