72話 ページ26
なかむさんは私の言葉に唖然とした顔になった。涙は、いつのまにか止まっていた。口を開いて、
「……じゃあ、俺のこと、嫌いじゃない?」
「何で嫌いになる必要があるんですか?いや、殺されそうなので嫌いになりかけてはいますが」
「殺さない!!絶対殺さないから! ね、じゃあ俺のこと好き?」
「いえ別に好きではないです」
「……っ……やっぱり、そうだよね……」
「そんな、初対面とか出会って数分の人をいきなり好きになるなんて漫画みたいな展開、中々ありませんって」
「え?」
「ゆっくり中身を知った上で好きになっていくんですよ、多分。私は恋したことがないのでわからないですけど」
なかむさんが数秒黙って、ラブじゃなくてライクの話、と言った。自分がとんでもない勘違いをしていたことを知って、一気に顔が熱くなって、それなら普通です!と言った。
普通かぁ、と言って、今まで見た中で1番嬉しそうになかむさんは笑った。
「ごめん。……ありがと」
「は、はぁ。よくわからないですが、いいですよ、どういたしまして。……殺されないですよね?不敬罪とか秘密警察とか、ないですよね?」
「ないよ。大丈夫。君は絶対殺させない。……ねぇ、手、握ってもいい?」
ぱふん、とベッドに横になった彼から手を差し出される。いいですよ、と言って差し出せば、する、と指を絡められた。にぎにぎと握られる。憑き物が落ちた様に、へにゃりと眉を寄せて寂しそうに笑う。
「……俺、馬鹿だったなぁ。意固地になって、周りを見なくなって。……皆に酷いことした」
「酷いこと?ですか?」
「そう。許されることじゃないような酷いこと」
「それは、良くないですね」
「うん。良くない」
「じゃあ、頑張って挽回しないとですね」
「……できるかなぁ。今の俺に」
「できますよ」
「…………なんでそう思うの?」
「私のカンです」
自慢じゃないが、結構当たると評判だった。
「……何それ。やっぱ君、変な子」
「皆が変だと思っている人間は皆を変だと思っているものですよ。人生そんなもんです」
「スマイルみたいなこと言うね」
「え、スマイル様ってこんな感じなんですか?」
「そうだよ。あいつもよくわかんないことばっかり言ってた。……聞きたい?」
「はい!興味あります!」
「……やっぱダメ」
「気まぐれの化身ですか??」
「代わりに、聞いてよ。____俺の話」
「___迷惑でなければ、ぜひ」
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すみれ - 続編おめでとうございます!この作品とても好きです! (2022年10月23日 21時) (レス) @page2 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あの、ちょいちょき面白くてクスッと笑ってしまう所がありとても好きなお話です。これから続きを読んできます! (2022年7月19日 21時) (レス) @page50 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - めっちゃこの小説が大好きで、この小説を読むでいる時間が一番幸せです(^-^)これからもよろしくお願いします (2021年9月16日 16時) (レス) id: dab527b906 (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - スカ一さん» はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。 (2021年9月16日 6時) (レス) id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
スカ一(プロフ) - サンセットマリンさん» おはようございます、お世話になっております。ご了承頂きありがとうございます。では、今回の件はこれにて終了とさせて頂きたく思います。また、作者名、作品名を伏せて事の経緯の説明を当方の作品内でさせて頂いてもよろしいでしょうか? (2021年9月16日 6時) (レス) id: c3f5308968 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サンセットマリン | 作成日時:2021年9月7日 18時