62話 ページ16
大変だ、元の廊下へ戻らないと、と辺りを見渡すが、それらしい目印もなければ見知った道も見当たらない。ついでに周りに人影もない。
困ったなぁ、と思っていた時だった。不意に、私の耳に女の子の声が聞こえてきた。
この城にいる女の子は、多分大体メイドさんだ。よかった、これで道が聞ける。
声が聞こえたのはすぐそばにあった、やたらとカッコいい作りの扉の向こうで、何の部屋だろ、と首を傾げながらノックしてみる。
「あの、すみません!」
しかし、部屋から反応はなかった。……あれ?さっきの声、聞き間違いだったのかな。
いやでも、私はこう見えても耳には自信がある。もしかしたら、具合が悪くて倒れてしまっていたりするかもしれない。そういえば聞こえた声はなんだか妙に掠れていたし。
一応確認も含めて覗いてみるか、と思ってノブを掴む。鍵は閉まっていなくて、開いていた。回して、
「すみません、どなたかいらっしゃいま_______」
開いて、中の光景を見て言葉が止まる。パチパチと目を瞬かせ、頭が目の前の光景を正しく処理して、
「……………………っ!?!?!?!? えっ、あっ、たっ……大変失礼いたしました間違えましたごめんなさいえっとその、ごめんなさいどうぞご_____ごゆっくりっ!!!」
バタン!!と間違いなく人生最速で扉を閉めてとりあえずダッシュでその扉の前から走る。
廊下の突き当たりまで来て、右に曲がって左に曲がって、運良く元の道まで来ることができたがそれどころじゃない。壁にもたれかかって崩れ落ちる。
「な、な、なん、何、何で、」
動揺のあまりバグったみたいな声が出てるが、あ、ありのまま扉の向こうで繰り広げられていた景色を話すぜ!!
部屋には馬鹿でっかいサイズの天蓋付きベッドがあってな?その上に人間が2人いて、1人は多分声の主だったのだろう女の人で、もう1人はふわふわした赤茶色の髪の大柄な男の人。
____えっと、それで。男の人は半裸で、女の人は何故か服を着てなくて、それで、男の人が女の人のことを、お、押し、押し倒、
「_____何廊下で百面相してんの?」
「ひゃあああっっ!?!?!?」
そんな状態だったから、不意に話しかけられて情けない叫び声を上げる。
うるさ、という声に恐る恐る顔を上げれば、目に飛び込んできたのは水色の瞳とパンダのパーカーだった。
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すみれ - 続編おめでとうございます!この作品とても好きです! (2022年10月23日 21時) (レス) @page2 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あの、ちょいちょき面白くてクスッと笑ってしまう所がありとても好きなお話です。これから続きを読んできます! (2022年7月19日 21時) (レス) @page50 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - めっちゃこの小説が大好きで、この小説を読むでいる時間が一番幸せです(^-^)これからもよろしくお願いします (2021年9月16日 16時) (レス) id: dab527b906 (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - スカ一さん» はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。 (2021年9月16日 6時) (レス) id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
スカ一(プロフ) - サンセットマリンさん» おはようございます、お世話になっております。ご了承頂きありがとうございます。では、今回の件はこれにて終了とさせて頂きたく思います。また、作者名、作品名を伏せて事の経緯の説明を当方の作品内でさせて頂いてもよろしいでしょうか? (2021年9月16日 6時) (レス) id: c3f5308968 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サンセットマリン | 作成日時:2021年9月7日 18時