魅惑的で不思議 【名前変換オリジナル】

#２３ ページ23

いちご飴……？

いちご飴……。


『え、まぁ、良いよ』


「……行こ」


一瞬何かを迷うような素振りを見せたあと、宮浦くんは右手を差し出してきた。

……これは、手を取るべき？

ゆっくりと左手を伸ばし、宮浦くんの手を取ろうとすると、それよりも先に手を握られて引かれる。


『わっ、』


「ほら、転ぶよ？」


小さく微笑みながら支えてくれた宮浦くん。どうやら心臓は持たなさそうだ。


『あ、ありがと……』


「いーえ」


向かいの橋を渡り小川を越えると、いちご飴の屋台まで二人で歩いていく。

周りはがやがやしているはずなのに、心臓の音がうるさすぎて聞こえない気がする。

……手は、いつまで繋ぐの？

なんて聞けるはずもない。

気づいたら順番は回ってきていて、宮浦くんが頼んでいた。


「いちご飴、赤と白一つずつで」


『白？』


「そ。白いいちごらしいよ。限定品」


『へ〜、そうなんだ』


つやつやないちご飴が並べられているその光景は、まるで宝石箱みたいで。


「あいよっ、お待たせさん」


ノリの良いおじさんがいちご飴を差し出してくる。


「仲良いねぇ、カップルかい？まけちゃるよ」


「また来てな〜」


『カッ……え？！』


困惑する私を余所目に、宮浦くんは「勘違いされちゃったね」なんて余裕そうに笑っていた。

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