魅惑的で不思議 【名前変換オリジナル】

#２０ ページ20

聞き慣れた男の人の声。

ちっちゃい時からずっと一緒に育ってきた、少し低めでチャラそうな声の人。

そう、助けてくれたのは


『ゆ、結人……？』


「ごめん、遅くなったわ」


いつもチャラチャラしていた結人だった。


「あ？お前誰だよ」


すかさずナンパ野郎は反抗してくるが、結人にはまるで響いていないみたいで。

冷たい目で男の人に視線を送った結人は、珍しく苛つきを飽和した声で睨み付けながら声を発した。


「うっせぇよ、ナンパ野郎。俺の"大事な"幼馴染みですよーだ。馬鹿め」


「チッ、クソがよ」


まるで漫画のような捨て台詞を吐いてどこかへ行ったナンパ野郎。今だけは、ちょこっとだけ結人がカッコよく見えた。

＿チョロいだろうか。


『あ、ありがと』


「いや……別に」


微妙な沈黙。

早く2人も来てくれないだろうか、なんて思っていると、渚沙ちゃんがやって来た。


『渚沙ちゃんっ！』


「あー！A、可愛いね！」


開口一番に私の浴衣を褒めてくれる渚沙ちゃん。

ちょっと空気が明るくなって、気まずさもいくらか紛れる。

それから5分くらいして宮浦くんも来た。


「おせーよ、遥馬！何してたんだか」


『ホントだよー、結構待ったんだよ？』


「……ごめん、ちょっと迷った」


……方向音痴？そんな可愛い一面があったとは。

ぽかんとする結人と渚沙ちゃんを余所目に、思わずふふっ、と笑いが溢した。


『じゃあ、行こっか』


＿波乱の夏祭りの予感。

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