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「手、出して」
差し伸べるように出された手のひらに、緊張しながらおずおずと手を出すと
廉の手が優しく私の手に触れた。
無言のまま器用にテーピングをしていく廉の真剣な表情を盗み見たり、
その視線の先にある私の手をまるで大事そうに触れているような気がして、心臓が破裂しそうだった。
「っていうか、バド部であんな盛大にコケるやつ、初めて見たわ」
突然口を開いた廉にビクッと肩を揺らすと
廉が、あ、とでも言うような顔をした。
『えっなに、見てたの！？』
「たまたまやん！たまたま目に入ってきてんっ」
明らかに動揺している廉。
見られて恥ずかしい思いをしているのは私のはずなのに、廉はうっすらと頬を染めていて瞳がゆらゆらと揺れていた。
もしかしたら…なんて淡い期待が膨らむけど、
廉が私を想ってくれているなんて奇跡みたいなことあるはずない。
「あのさ、」
『……なに？』
廉が緊張した面持ちで私を見つめる。
つられるように私までドキドキしてきて、思わず身構えた。
「もしさ、Aが告られるとしたら、どんなんがいい？」
『……へ？』
ギュッと胸が痛み出す。
ああこれって恋愛相談？なんて、やっぱり期待を持ってしまっていた自分に腹が立った。
「いや…好きなやつ…いるんやけど。相手全然気付いてくれへんから、もう言っちゃおうかなって思うねんけど、どのタイミングで〜とか…あるやん？そういうの…女子的にどうなんかなって思って」
廉のひとことひとことを聞く度に、ぐっとこみ上げる何か。
話終わった廉は、ちょうど私の手当を終えて、触れていた手がすっと離れた。
「……どう…思う？」
どう思う？なんて、自分のことを好きな相手に聞く廉は酷だな。
気付け、ばか。
そんなことを思っても、口には出せず私はただ良い人を演じる。
『……タイミングとか気にしないで、言いたくなったら言えばいいんじゃない』
良い人を演じたつもりが、私の中の悲しみが勝ってしまって少し冷たく放たれた。
その誰か知らない相手に好きって言ってしまえ。そしてフラれろ。
もはや廉の不幸を願ってしまうほど、私は優しくない自分本位な人間なんだなと知る。
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hinata(プロフ) - ゆかさん» いつも読んでいただきありがとうございます！！ずっと見てくださってるなんて…ほんと嬉しすぎます！(；；)そう言っていただけるならいくらでも書きますので！これからもぜひよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年2月16日 23時) (
レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - 月さん» はじめまして！！読んでいただきありがとうございます(；；)リピ読み…！めちゃめちゃ嬉しいです！！！また気が向いたときにお読みいただければ幸いです…！コメントもありがとうございました！！ (2021年2月16日 23時) (レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - 更新嬉しいです！ずっとお気に入り作者登録しております。また新作書いてください！飛んできますので！笑 (2021年2月15日 0時) (レス) id: 3890b64e54 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - hinataさんはじめまして。完結おめでとうございます！保健室とベッド好きすぎてリピ読みさせてもらってます！ (2021年2月14日 23時) (レス) id: 11039f4f3f (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - AAAさん» わああとっても嬉しいです(；；) ドキドキしながら投稿したのでそんなこと言っていただけるなんて、、 わたしも頭の中で続編考えてしまいました笑 これからもよろしくお願いします！m(_ _)m (2020年4月14日 19時) (レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hinata
| 作成日時：2019年8月18日 5時
