30.女神の優しさ ページ30
チンっと音を立てて、刀を鞘にしまう。
送り込んでいた隊士が次々やられたと聞いて、俺たちが出向いたわけだが、隠れるのが上手いだけでそこまで大した鬼ではなかった。
意外と早く終わったなァ。
「お兄さん、お怪我は?随分震えてるけれど大丈夫?」
少し離れたところで琴音が腰を抜かしている平隊士に話しかけている。
「だ、だだだっ、大丈夫ですっ!」
先程まで青い顔をしていた奴が彼女に手をさしのべられて、今度は頬を赤くしている。
「チッ」と舌打ちして「オイ!」と声を張り上げた。
「雑魚に手こずってんじゃねェぞ。鍛練が足りねェみてェだな?」
ずかずかと近づくと「ひっ!かっ、かかかかか、風柱様っ!」とまた怯え出すソイツ。
「実弥、脅しちゃ駄目よ。お館様からも“下の子に意地悪をしないこと”って言われたでしょう?」
先日の柱合会議でのことを引っ張り出す琴音。
「関係ねェよ。これは鍛練なんだからなァ!」
ニヤリと口角が上がるのが自分で分かった。
「怪我人の手当てが先よ」
スッと俺とそいつとの間に割り込む琴音。
「隠を呼んであるから、到着したら私たちは帰りましょう」
暴れるつもりだったが、「ね?」と微笑まれてしまえば、返す言葉が見付からなかった。
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月見(プロフ) - おしゅらさん» ありがとうございます!ゆっくりとマイペースで更新頑張りますね(*^^*) (2021年10月13日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
おしゅら - ゆっくりで構いませんよ(*´ー`*)気長に待っていますので月見さんのペースで更新なさってください(^^) (2021年10月13日 18時) (レス) id: 2609acdfa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年9月12日 12時