12.貸し ページ12
「坊や」
「はいっ！？」
「坊やが庇っているのは鬼ですよ。危ないですから離れて下さい」
内緒話でもするように炭治郎くんに話しかけるしのぶちゃん。
「ちっ…！違います！いや、違わないけど…あの妹なんです。俺の妹でそれで…」
「まぁ、そうなのですか。可哀想に。では───苦しまないように優しい毒を使いましょうね」
炭治郎くんが言葉を失っている。
私もまた、彼が抱えている女の子の存在に言葉を失っていた。
何時だったか、義勇がもごもごと「妹を鬼にされた少年を鱗滝さんに預けた」とか、「鬼を連れていても鬼殺が出きると思うか？」等と言っていたのはこのことかしら？と頭を過る。
あの時は何かの冗談かと思ったけれど………
鬼によって家族を失った彼がここまでして庇うのだ。
何か理由があるのかもしれない。
「動けるか」
聞いた義勇に炭治郎くんがびくっと体を跳ねさせる。
「動けなくても根性で動け。妹を連れて逃げろ」
「冨岡さん……」
「炭治郎くん、ほら急いで！」
呆然としている彼を立たせる。
「琴音さん…すみません！ありがとうございます！！」
ダッと駆けていく足音を聞きながら義勇が私に聞いてくる。
「良いのか」
「なんですか？そっちがやりだしたことでしょう？これは貸しですからね」
私はにこっと笑ってそう言った。
「これ、隊律違反なのでは？」
私と同様に、にこっと笑うしのぶちゃんだけれど、こちらは目が笑っていない。
「…。」
黙り込んでいる義勇に代わって私が口を開く。
「まぁまぁ、しのぶちゃん。ちゃんと義勇の言い分も聞いて上げましょう？」
「鬼殺の妨害ですよ？琴音さんもお分かりですよね？それに勝る理由なんてありますか？」
「……………あのね、しのぶちゃん。こんな時に悪いのだけれど………───────。」
にこっと微笑んで告げると、隣の義勇が慌てて振り向いたのが見えた。
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月見(プロフ) - おしゅらさん» ありがとうございます！ゆっくりとマイペースで更新頑張りますね(*^^*) (2021年10月13日 21時) (
レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
おしゅら - ゆっくりで構いませんよ(*´ー｀*)気長に待っていますので月見さんのペースで更新なさってください(^^) (2021年10月13日 18時) (レス) id: 2609acdfa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月見 | 作成日時：2021年9月12日 12時
