19.人を襲わない鬼 ページ19
「くだらない妄言を吐き散らすな。そもそも身内なら庇って当たり前。言うこと全て信用できない。俺は信用しない」
「あああ…鬼に取り憑かれているのだ。早くこの哀れな子どもを解き放ってあげよう」
小芭内も悲鳴嶼さんもなんて辛辣なのかしら………
「聞いてください!!俺は禰豆子を治すため剣士になったんです!禰豆子が鬼になったのは二年以上前で、その間、禰豆子は人を喰ったりしてない」
治す?
鬼を人間に戻すということかしら?
そんなことが可能なの?
考えていると天元が口を開く。
「話が地味にぐるぐる回ってるぞアホが。人を喰っていないこと。これからも喰わないこと。口先だけでなくド派手に証明して見せろ」
「………そうね。天元が言うように証明出来なきゃ…炭治郎くんには悪いけれど、鬼である彼女をこの先も生かしておく訳にいかないわ」
私はしのぶちゃんの隣に座り込んで彼を見た。
「そんな………」
私の言葉に炭治郎くんの顔が絶望に染まる。
「けれど、本当に二年も人を喰っていない鬼がいるのだとしたら貴重な存在でもある。……そうよね、しのぶちゃん」
「…そうですね………」
それを聞いて、少しだけ炭治郎くんの目に希望が宿ったように見えた。
「あのぉ、疑問があるんですけど…お館様がこのことを把握していないとは思えないです」
もじもじと蜜璃ちゃんが話し出す。
「勝手に処分しちゃっていいんでしょうか?いらっしゃるまでとりあえず待った方が…」
蜜璃ちゃんの言葉に耳を傾ける天元と杏寿郎。
可愛い女の子の言うことは素直に聞いちゃう辺り、貴方たちもやっぱり男の子か。
「妹は俺と一緒に戦えます!鬼殺隊として人を守るために戦えるんです!だから………!」
蜜璃ちゃんの発言で、場の雰囲気が変わり始めたのを気に炭治郎くんが声を張り上げた。
けれど途中でそれを遮るように、庭の奥から声がする。
「オイオイ。何だか面白いことになってるなァ」
その場にいた全員の視線を集める。
「困ります。不死川様。どうか箱を手放してくださいませ」
そんな声を無視して歩いてくる彼、不死川実弥は木箱を片手に真っ直ぐこちらにやってくる。
「鬼を連れてた馬鹿隊員はそいつかいィ?」
箱を取り返したいけれど、怖くて行動できずオロオロと狼狽える隠がちょっと可哀想だ。
77人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月見(プロフ) - おしゅらさん» ありがとうございます!ゆっくりとマイペースで更新頑張りますね(*^^*) (2021年10月13日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
おしゅら - ゆっくりで構いませんよ(*´ー`*)気長に待っていますので月見さんのペースで更新なさってください(^^) (2021年10月13日 18時) (レス) id: 2609acdfa8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月見 | 作成日時:2021年9月12日 12時