転生少女のバレーの世界奮闘生活【ハイキュー】

39☆*ー途中から及川side ページ40

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『助かった飛雄〜！！危うくファーストを廊下にあげるとこだったぜ…。』
「ふぁーすとってどういう意味だ？」
『まじか』


まさかファーストの意味すら知らない感じ…？こいつどうやって受験受かったの…？(困惑)



『ま、まぁまぁいいや！ありがとうな助けてくれて！』
「おう、足元には気をつけろよ。何も無かったけど。」
『グサッとくるからやめようか。』
「？」







「……は？」


この2人の様子を見ていた者が1人。





＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿


「及川さん。」



下の名前で呼べと何度言っても、頑なにそう呼んでくる女の子。その子こそが我らが男子バレー部唯一のマネージャー、笹倉庵ちゃん。ひと目見た時の感想はすごく綺麗で可愛い子。だけどそれは外見だけだったことがここ最近分かった。


ドリンクは何故か投げつけてくるし他の女の子に向ける俺の爽やかスマイルを向けても「気持ち悪いです」の一言で一蹴、一体俺が何をしたってんだ。これでも少し傷ついてるんだよ及川さん。そんな冷たい対応をしてくるくせに、マネ業はたった一人で全てをこなすだけでなくそれ以上の仕事をしてくれたり、選手の変化にいち早く気づく庵ちゃん。

他の女の子と違って着飾ること無く自分を出してる姿ややることは徹底してやる真面目な姿に、俺は興味を惹かれた。



俺は事あるごとに庵ちゃんにちょっかいを出した。冷たい反応ばかりだがいつかその綺麗な顔を崩してやりたいと俄然燃えてくる。この気持ちはいつからか、興味から好意へと変わっていた。


その口から俺の名前を呼ばせたい、特別だと言われたい、手を握ったらどんな顔をするのだろう、慌てふためく？それともやっぱり余裕そうに仕返しされるのかな。そんなことばかり考えちゃってるからか、他の俺のファンの子達への対応が上の空になってるここ数日。庵ちゃんのせいだからね、と心のなかで悪態をつく。




これだけ俺の心の中を支配している庵ちゃんが、今目の前にいる。俺の苦手な、天才くんと一緒に。



「…………は？」



思わず俺の口から出たのか疑いたくなるような低い声。俺の姿を見つけてついてきていたファンの子がビクッと肩を揺らしているのに気づいてごめんね、と優しく声をかけた。


何事も無かったかのように平然と、いつもの笑顔を浮かべながら心の中はさっきの場面でいっぱいだ。なんであいつと一緒にいたの？なんでそんな笑顔向けてるの？なんであいつは、庵ちゃんを抱きしめるようにしていたの？なんで、なんで……


バレーでも恋愛でも、俺はぽっと出の天才ってだけの奴に負けるの…？

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