転生少女のバレーの世界奮闘生活【ハイキュー】

33☆*ー国見side ページ34

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ドリンクを俺達に渡す庵。どれだけ他の場所に目を移してもいつの間にか俺の視線は庵に奪われている。その理由に少しだけ、俺は気づき始めている。




「やっぱ可愛いよな、笹倉って。」
「それな！俺良かったわー！バレー部入って！」
「ワンチャン付き合えたりできるかもだしな！」




ワンチャンなんて、させるかよ。




下心丸出しの目で庵を見る奴らをキッと睨みつける。その視線に気づいたアイツらは「ひっ」と声を上げて気まずそうに俺から少し遠ざかった。


視線を庵に戻せば、また及川さん達と話す庵の姿。………だから庵がマネージャーになんて嫌だったんだ。入学式の日、だいぶ大きめの声でまだ会ったことないはずの校長の悪口を言う女子がいて、俺は何故か柄にもなくその子に話しかけたくなった。それが庵だった。


話せば思った通り面白くて、考え方が似ていたのだろうか、何より庵の隣が居心地が良かった。休憩時間もいつの間にか隣にいる。同じクラスの、1番初めに話しかけた俺だけの特権。


楽しそうに笑う庵とその笑顔を向けられている及川さん達に俺の胸の奥で黒いものがぐるぐると回る。俺ももう中学生。この気持ちの名前が分からないほど鈍感ではないつもりだ。これは、嫉妬。


俺が1番初めに見つけたのに。
庵のそのコロコロ変わる表情を見るのは隣にいる俺だけの特権だったのに。


誰にも気づいて欲しくなかった。庵という存在に。


多分まだ気づいてないだけで、及川さんも岩泉さんもふとした時に庵を見てる。そして遠くで一人、バレーボールを上にあげ続ける影山も。逆にこの短期間でなんでそんなに人を惹き付けてんだ。中身変な奴なのに。


でもそんな庵を独り占めしたいと思っている俺がいるのもまた事実、か。


練習始めるぞ、という及川さんを引きずる岩泉さんの声にハッとして、飲みかけのドリンクボトルをその場において、コート内に歩きだした。


庵がしたいと言ってることを止めるほど俺は偉くないし、人のしたいことを止めて喧嘩になるなんて面倒なことはゴメンだ。だったら俺は俺らしく、庵に話しかけようとするやつを妨害して、庵にこれ以上近づかせないようにしてやる。


少々面倒だが、庵のことなら俺はなんでも出来る気分になっている俺はだいぶ庵の隣を取られたくないらしい。

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