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ホテルに戻って、
携帯で時間を確認して思わずため息がこぼれてしまう。
急ぎ足だった足が、次第に
自分の気持ちとともにゆっくりになっていく。
初めての野外公演、
何事もなく、終わるはずだった。
こればかりは、なにがあるかわからないのが
生のステージの恐ろしさで、
初めてそれを知った。
ハプニングも隣り合わせ、
何もかもが、紙一重の状態で挑んでることを
忘れちゃダメだよ。と先輩に言われて、
怖さも、恐ろしさも知った。
だけど、それを私たち、スタッフ以上に感じているのが
きっとメンバー一人一人だから。
今私ができること、私たちができることは
全てやりきった。
だから、明日理央さんが、日高さんが、
完全な状態で、出れるように
私たちは最善を尽くした。
きっと大丈夫だ、
変わらない笑顔で、変わらないステージを
作ってくれるはずだから。
落ちてばかりじゃ、
気分が悪くなるばかり。
全てやりきったんだから大丈夫。
あとは、2人を、メンバーのみんなを
信じるだけだ。
よし、と意気込んで落ちていた歩く速度を
上げようとした時、
「A。」
小さく名前が呼ばれた。
声のする方に振り向くと、
すでに部屋着に着替えて、
マスクと、メガネをしている西島くんだった。
「ちょ、…なにしてんの。」
西「終わったの？」
「終わったけど、…目立つでしょ。」
キョロキョロと辺りを見渡してから、
西島くんのそばによると、
目元が緩むのがわかった。
西「そんなことしたって、上関係者しかいないよ。」
「関係者でもダメでしょ、この状況。」
西「部屋来て。」
「は？」
西「一緒に寝よ。」
「ば、…はぁ、」
西「ため息つかれた。」
「馬鹿なんですか？」
西「だってあんた、気になって寝れなさそうじゃん。」
「………そんなことないよ。」
西「あっは、隠せないねぇ。」
西「 そういうところも好き。 」
ちょっと流し目してから、
耳元で囁く。
思わず耳を塞ぐと、
今度は見えてない口元が緩む気がした。
「拒否権は？」
西「ないね。」
「…、わかりました。」
西「決まり。寝れるまで子守唄歌ってあげる。」
「余計寝れないわ。」
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ゆう - すごく良かったです！ (2020年2月4日 12時) (
レス) id: 740b20218b (このIDを非表示/違反報告)
くま - 次が気になる〜!! (2019年9月3日 23時) (レス) id: dcfe0f3089 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rio
| 作成日時：2019年5月21日 2時
