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西「それでね、秀太が、」



子守唄はなかったけど、
あまり考えられないようになのか、
西島くんは、ずっと話しをしてくれた。

私がいなかった、
まだスタッフになる前な話や、
メンバーの話、
自分の話も織り交ぜて、


最初は言葉を返していたけど、
次第に眠気の方が勝ってきて、
私は、西島くんの声を聞きながら、
ゆっくりと夢へと落ちていった。





* * *




目が覚めたら、
西島くんは、まだ隣で眠っていた。


本当に私が寝るまで起きててくれたらしい、


起こさないようにそっとベッドを抜け出して、
携帯の横に小さな紙で書き置きして、
自身の部屋へと戻った。






予定していたリハーサルより早い時間からリハーサルが始まる。

昨日のこともあり、
今日のリハーサルは、早めにやろうということになったからだ。



音リハをして、
衣装の再確認。


昨日と変わった衣装を並べて、
願うように、目を瞑った。




( 無事に、三日間何事もなく、 )

( これ以上何事もなく、終われますように。 )





日「Aちゃん。」

「日高さん、おはようございます。」

日「おはよう。これ、ありがとう。」



片手に持っていたのは、
昨日Aさんの衣装とともに取りにいった
日高さんの手袋だった。


「…大丈夫、ですか?」

日「ん?衣装のこと?」

「あ、いや、お怪我。」

日「なんともないよ。ここにいるじゃん。」

「そうですね、」



日「Aちゃんのせいじゃない、誰のせいでもないから、ここに立ててる事実だけあればそれで十分だと思わない?」



ね、とにっこりと笑う表情に、
思わず見入ってしまった。



メンバーの中でも、
だれにと劣らず、人一倍メンバーのことを考えてて、
常に冷静な、日高さんだからこそ。



私や、スタッフのことも考えてくれたのであろう。



そうじゃなきゃ、こんな早くに衣装の確認に来るわけない。



「信じてます。」

日「お、いいねぇ、その言葉。最高の返しだね。」

「これで十分ですよね?」

日「あはは、そうだね。」



じゃ、また後でね。

と、持っていた手袋で私の肩を叩いて横を通り過ぎていく。


スッと、何かが落ちていく感覚。



そうだ、私が、私たちが見てきたのは、




最高のステージを届けるために、
いろんなものを犠牲にしてきた、

最強の、8人なんだから。





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ゆう - すごく良かったです! (2020年2月4日 12時) (レス) id: 740b20218b (このIDを非表示/違反報告)
くま - 次が気になる〜!! (2019年9月3日 23時) (レス) id: dcfe0f3089 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rio | 作成日時:2019年5月21日 2時

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