p e r f e c t _ 5 (ページ16)

今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:102,322 hit

200 ( side Nishijima ) ページ16

.

「西島くんの独り言、独り言のレベルじゃないんだよなぁ。」

西「うるせーな、聞かないふりしてって言ったろ。」

「はいはい、」

西「前もあったなそういえば、」

「ん？なにが？」

西「独り言、いつだっけ、…あぁ、Aが熱出した時だ。」

「あー…あ、そうだね。あの時も独り言～とか言ってたけど、全然違うし。」

車に乗って、独り言として出した俺の気持ち。

思ってる以上にこわい、という気持ちが大きくて、
自分でもこんな気持ちだったんだな、って改めて思わされる。

それだけ、非日常なことで、
普段から考えたらありえない出来事だったんだなって。

西「気持ちを伝えるには、卑怯だったなって思うわ。…結局今回のことでも思ったけど俺、弱いんだよな多分。」

弱いから、
だから強がることを覚えて行った。

それは俺だけじゃない、

西「それで、Aは？」

「うん？」

西「なんでAがいくことになったの？」

「…それは、私が、一番下で、」

西「でも、変えの衣装がないとは思えない。非常事態が0パーセントとは言えない中で、それに対応できないわけじゃない。…なのになんでAがいくことになったの？」

「…、理央さんが、衣装合わせの時から裾気にしてて、もうちょっとちゃんと合わせればよかったな、って、…私が、ちゃんと確認してれば、って」

後ろから覗いたら、ハンドルを握る手が強くなるA。

仕事にも、責任感が人一倍あるAだから
自分が関わったことで、こうなったって思ってるのは考えれば当たり前なんだろうけど、

西「Aが悪いわけでもなんでもないけどね、」

「うん、先輩にも言われた、…それもうわかってる、」

西「あらそうなの？」

「…けど、」

西「けど？」

「考えたって、…起こったことは、もう変えられないのに、」

「あぁしてれよかったな、って…後悔ばかり先に来ちゃって、…ダメだなって、思うんだよね、」

ぽろ、と目線の先で流れる水滴。

表情は見えないけど、
やっぱり彼女は泣いた、

隠しきれない不安が、
こぼれ落ちる瞬間。

思わず、頬をぬぐった。

→