君の前では。 ページ2
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好きな人の前では、いつでもかっこよくいたい。
それはきっと、男としては当然な事だと思ってる。
だからこそ、俺にとっては、
" 甘える "という事は、あまりかっこいいというものではなくて。
これまでもそうだったし、これからもそうだと思ってた。
ため息が出るほど忙しい、というわけではない。
けれど、うまくいかない時なんて、誰にだってあるはずなのに、
うまくいかないことが一つできると、
それに積み重なるようにうまくいかない事が何個も出てくる。
それが今で、
うまくまとまらなくて、俺の気持ちが、伝わらない。
苛立ちで、言葉が荒くなることもあったし、
一生懸命に汲み取ってくれようとしてくれるスタッフや、仕事仲間がいるってのもわかってるんだけど、
それがどうも、うまくいかない時期だった。
音楽を止めようと携帯をふと見たら22時を回ろうとしていて、お金を払ってタクシーを降りて、
部屋のドアに手をかける前にわかる、
( 来てんだ、…そういや朝ラインきてたな、)
ガチャリ、とドアを開ければ
中から聞こえてくるのは鼻歌。
機嫌が良さそうで落ちていた心も少しだけ浮上するも、
俺の心はそれでも気分は落ちたまま。
「あ、秀太くん!…おかえりなさい、」
秀「んー、ただいま、」
ぱっと顔を上げたAちゃんは、笑みを浮かべていたが俺の顔を見て、
少し声のトーンを下げる。
返事だけ返してから、部屋に入ると
キッチンから追うようについてきて、
遠慮がちに声を変えてくる姿、
いつもだったら、その姿も可愛く見えるはずなのに
落ちた心のままの俺は、何?としか言葉が出なかった。
「あ、の…洗濯しておいたので、」
秀「あー、ありがと。」
「…なんかありました?」
秀「なんも。ちょっと仕事残ってるから、あとでいい?」
「大丈夫です、あんまり無理しないでくださいね、」
今思えば、
こんな時にまで俺のことを
心配してくれる健気なAちゃんをかなり傷つけてたんだと思う。
部屋に閉じこもって、まとめあげていたものに集中してて、
部屋の外でしていた小さな音たちが、
途中から聞こえなくなったのにも気付かなくて、
ピコン、となる携帯の通知音で、我に帰る。
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rio(プロフ) - smileharu1130さん» コメントありがとうございます!ここだと色んな秀太くんを書かせていただけるので、とても楽しいです!今後もぜひお楽しみしててください*また覗きにいらしてくださいね! (2019年3月25日 0時) (レス) id: 8574c01615 (このIDを非表示/違反報告)
smileharu1130(プロフ) - ふてくされる秀ちゃんもデレる秀ちゃんも可愛いすぎます… (2019年3月24日 12時) (レス) id: a6a6da5361 (このIDを非表示/違反報告)
rio(プロフ) - なさん» 遅くなり、大変申し訳ございません!ありがとうございます、ここの2人はThe純愛で進んでいきます〜!! (2019年3月5日 23時) (レス) id: 8574c01615 (このIDを非表示/違反報告)
rio(プロフ) - 萌奈さん» ありがとうございます!ゆっくり更新しますね〜!楽しみにしておいていただけると嬉しいです! (2019年3月5日 23時) (レス) id: 8574c01615 (このIDを非表示/違反報告)
萌奈(プロフ) - 楽しみにしてます! (2019年3月5日 22時) (レス) id: 498687d901 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rio | 作成日時:2018年10月22日 1時