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12. ( side Nishijima. ) ページ14

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俺は西島隆弘くん、絶賛メンバーをガン見中。

ぜんっぜん気づかないんだもの。
いつもだったら、あんだよ。なんて言いながら
大きな口開けて笑うくせに。


今日に限っては、ペットボトルに刺さったストローを噛んだまま目線は1点で止まってる。


その目線の先には特に何も無い。
時々唇を触ってるのは、考える時の昔からのくせらしい。



西「ひぃーだぁーかぁー」



ソファの横から呼んでも気づきやしない。
変なの、と思っていたら
今度は盛大にため息。


本当に珍しい。


疲れた、もそんな弱音もあまりメンバーの前でも出さない日高が、
メンバーのいる楽屋でため息なんて。



西「…ぃーあーかぁくんーん」

日「なんだよ。ストロー咥えたまま話すな溢れる。」

西「呼んでたのに全然気付かんやん。日高だって咥えたままなくせに。」


さっきまで完璧に気づいていなかったのに、
あたかも気づいてましたけど、というように問いかけに答えてくる日高の目がこちらに向く。


顔色は悪くない、
多分体調が悪いというわけでもなさそう。
珍しいね、どうしたの。なんて言っても別になんでもないよと返ってくるだろうから
あえてないも言わないのも10年以上付き合ってきたからわかることであって。




日「西島さぁ〜、すっげー仲良い女友達との恋愛って考えたことある？」

西「え？！」

日「……まぁお前はねぇよなぁ。」




急にそんなことも言うもんだから、変な声が出ちゃった。
あぶねー、口から水も出るところだったよ。

そんなドキドキとした俺をよそ目に
日高の表情は変わらぬまま。




すっげー仲良い女友達ってだれ？と思うけど、
……あいつのことじゃなさそうだし。


宇野？千晃？


いや、日高に限ってないよなぁ。


訳も分からないまま、
声をかける前と同じような沈黙が流れる。




西「日高くんは〜好きな子いるの〜？」



そんなおちゃらけて聞いてみても、
ちらっと向いた目線はちょっと冷たくて、
ムッと唇を尖らせる。


なんだよ、話振ったのはそっちやん。
俺がこんなこと聞いたって、笑って誤魔化すまでが
日高光啓やん。



なのにさ。



日「お前に関係ない。」




なんでやねーーーん！
與もびっくりな関西弁が出ちまうだろ！

話振ったのはそっちじゃねぇか！




と言いたいところだけど、
あらそう、と俺は返しておいた。




まぁ、日高にもいい恋ができることを願って。




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