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40 ( side Sueyoshi ) ページ40

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Aのソロ曲が、凄く好きで、
耳に馴染む声で歌うあの歌が
俺は好きだった。

ステージ裏で、モニターを眺めながら
次のAのソロ曲を待ってると、

上がってきたAに違和感があった。
曲が始まっても歌い出さない、
おかしい、そう思って俺はすぐに
ステージへと上がった。

名前を呼べば、振り返って
不安そうに瞳を揺らすAがいて、
思わず抱き寄せた。

一旦落ち着かせようと思い、
スタッフに飛ばしてもらうように
お願いすると、
顔を伏せてAが、静かに泣き出して、
身体は治っても、

一度襲った恐怖は
なかなか抜けないんだと、抱きしめる手を強めた。

「…、歌えない」

秀「大丈夫歌える。」

「こわい、うたえなかった、」

秀「うん、そうだな。でも歌える、」

「うたえる、かな」

秀「歌える、お前は歌が好きだし、ダンスも好き、だから大丈夫、その気持ちがあれば、」

「…秀太、」

秀「俺も、他の奴らもいる。だから、しっかりファンの前に立てる。」

「うん、…ありがとう」

秀「おし、ちょっと休んだら戻るぞ」

「うん！」

不安そうに歌えない、と呟くAに
自信を失って欲しくなかった。

俺も、みんなも、お前の声が好きだ。

ファンのやつらも、きっと
Aがまた綺麗な声でうたってくれるのを待ってる。

一番不安なのは、Aだってわかってる。

でも、お前が思ってる不安を
きっと拭ってくれるのは、ファンの声だから。

明日立てばわかる、きっと。

浦「A！？秀太、…Aは」

秀「大丈夫、もう落ち着いてる。」

千「…こわいよね、」

秀「千晃もそうだったんだろ、」

千「うん、…でもこういう時のメンバーの声は
びっくりするくらい安心するから、」

浦「秀太が出てってくれてよかったよ、
裏にいたからわからなくて」

秀「んー、全然。もう少ししたら戻ろうって言ってるから、そしたら千晃つれてきてやって」

千「うん、そうだね。」

浦「じゃー、あと千晃よろしくな」

千「はーい、」

俺は、お前の声が好きだ。
歌ってる姿も、踊ってる姿も。

だからこそ、立っていてほしい。

好きだから、こそ。

お前に。

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