黄緑担当です。10

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「もしもし？」


《……もしもし》


約束の朝の10時。

流石に外には出られないから
電話で済ませようとし、

掛けてみると、ちゃんと出てくれた。


何か声か細いなと思ってしまった。


「あの時は殴ってごめん、痛かったよな？」


取り敢えずまずは謝罪からだ。

あの時は殴ってしまって、
病院送りにしてしまった俺も悪い。


《あ、いや……別に良いよ》


影野の反応を伺うと、
何処かよそよそしくなっている。

病院で頭とか冷やしたのか？


《あの……俺も「謝らなくて良いよ」》


影野の言葉を遮って、
謝罪をさせないように止める。

きっと、しゆんくんの事だろう。






「絶対に許さねぇから」


しゆんくんのことを悪く言った罪は重い。

それ以前に、
メンバーやリスナーさんの事を悪く言ったら、

本人が許しても俺が許したくない。


《……ごめん》


「謝んなって」


そう言っても、影野の口からは
「ごめん」と言ってるだけ。

そろそろ苛ついてくる。


《大学の時……リーダーにずっと頼りっぱなしで
影であんなに頑張っていたの知ってたのに

自分勝手だとか期待外れって言ったこと

本当に何言ってたんだろうな

あの時は、腹殴って本当にごめん


俺は辞めた後も大学でお前を
馬鹿にし続けたりしたけど、

Aが…諦めずに…

すとぷりに入ったのを知って、
すっげぇムカついたんだ


無理矢理再結成させて、
すとぷりから抜け出せれば

アイツらと同じこと出来るかなって思ってた

また最初から始めようとした

お前の優しさに甘えてた

正直、羨ましかった


すげぇ奴だと思ったんだ》






「………………で？」


《へ》


「で、何だよ」


俺がすげぇ奴だとか
羨ましかったとか分かったから。

で、何だよ。

それとこれとどう関係があるのか分からない。


「何？また俺に頼って
楽して歌い手になろうと？

人に頼ってばかりじゃなくて
自分で決めたなら自分でなれよ

俺は……大学の時と今じゃ全然違うぞ


少なくとも、俺はお前らに感謝してるよ




お前らに馬鹿にされなければ、
すとぷりにいなかったんだからな」


なんて、もう揉め事は起こしたくないので、
鼻で笑いながら嫌味をかます。

影野は黙ってしまったが、
《……ああ》と返事をするだけだった。


「もう、連絡先も全部消す
お前も俺の個人情報や連絡先全部消せ

LINE、メール、電話

二度と俺らの目の前に現れんな


また、こんなことしたら
容赦なく警察に連絡するからな」

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