黄緑担当です。10

○ ページ14

✻



きみくんが活動を休止して2週間が経った。

最初は嫌だった。

きみくんが活動を休止するなんて。
僕だってそんなの止めたかった。

だけど、寂しそうに笑うきみくんに
僕は何も言えなかった。

これがきみくんの…Aくんの
決断なら良いと思った。


あの現場にいたのに、
僕はきみくんに声を掛ける事しか出来なかった。

あんなきみくん初めて見た。

きみくんの学生の頃の友達？に
きみくんの悪口を言うなんて

本当に腹立たしかった。

ファン？メンバーを貶すような奴がファン？

ふざけんなよ。


きみくんは歌い手になろうと
どれだけ努力してると思ってんの？

お前なんかが分かんの？

きみくんを裏切った癖に
調子良いこと言ってんじゃねぇぞ？

不仲？そんなの勝手に言えよ。

扱いが雑………だ…なんて。


「…………あ」


僕の声が部屋にこだまする。

思わず声を出してしまった。

パソコンに触っていた指までもが
微かに震えている事に気が付く。


…自覚はあった。

きみくんのに対する愛情を
いつの日か雑に返していた。

これも一種の友情だと思っていた。

きみくんもきみくんで、笑いながら
「扱いが違う！」と言っていた。

だけど、あの事件の前から少し違和感があった。


きみくんの扱いを雑にすると、
笑顔だけど、一瞬だけ真顔に変わる。

目にハイライトなんて無くて、
何を見ているのかすら分からなくて、

凄く怖かった記憶がある。


＿＿＿＿＿＿＿＿



「ぶっちゃけコイツのこと
どう思ってます？

やっぱり、ころんくんと
コイツ不仲だから嫌いなんすか？

いっつもコイツの扱い雑だし」


＿＿＿＿＿＿＿＿


ふと、きみくんの知り合いにそう言われて、
本当の気持ちを言って反論までした。

だけど、


＿＿＿＿＿＿＿＿



「それもしかして図星ですか？
やっぱコイツのこと嫌いなんすね」


＿＿＿＿＿＿＿＿



きみくんを笑いながら言ってた
あの言葉が凄く腹が立った。

殴るのは悪いことだけど、
事の発端はアイツにあったんだ。

あの時のきみくんの表情は
悲しそうに見えてしまった。


＿＿＿＿＿＿＿＿


「すとぷりって何でこんな無能
置いてるんすか？」

＿＿＿＿＿＿＿＿




「(何時までもAくんに
甘えてんじゃねえぞ…クソが…)」


心の中で苛立ちながら、
僕はまた作業に取り組んだ。

○→←○

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す