黄緑担当です。

◎ ページ23

*


きみくん大好き

きみくん好きだよ

ねぇ、何で返事返してくれないの?

私のこと嫌いなの?


鳴り止まない通知に俺はスマホを
電源オフにする。

何でこの人の名前が分からないの？

怖くなって部屋に籠ろうとすると、
玄関の方からガチャガチャと
音がしてくる。

怖すぎて思ったように足が動かない。


「きみくん？何で開けてくれないの？！
私のこと好きじゃないの！？」


ねっとりとした女の声がする。

活動名で俺の名前を呼んでるってことは
完璧に俺のリスナーだ。

…何で、どうやって俺の住所を特定した？

ドンドンとドアを叩く音が聞こえる。

慌てて隣の物置部屋に移動して
聞こえないように耳を押さえる。

―――――

数分経って恐る恐る手を退ける。

玄関の方をちらりと見ると
ガチャガチャした音は聞こえないし、

チェーンを掛けて外を見たが、
誰も居なかった。

…これって一応警察に
通報した方が良いのかな？

……だけど通報したところで

完全に動いてくれるって事は
あまり無さそうだし…。


「……寝るか…」


先程の事を寝て忘れようと
俺は寝室へ駆け込んだ。

――――――――


「…………ん、今何時？」

時間を見るためにスマホを探す。

……そうだ、電源オフにしてたんだった…。

スマホの電源をオンにして、
近くの時計を見る。

時刻を見ると18時過ぎ頃だった。

生放送まであと2時間…。

顔を洗おうと寝室に出ると、

玄関のポストに
また封筒が入っていた。


「……今度は何…」


見ようと思ったが、見る気が無くて、
そのままゴミ箱に入れた。

早く顔洗って準備しておかなきゃ…。


――――――――――


あっという間に生放送が来てしまった。

Twitterも公式ラインも
ちゃんと送れたか確認する。

……良かった…。

DMのメッセージ欄を見てみると

名前が無い彼奴のメッセージが
気持ち悪い程送られていた。

…何となく察してはいたが、
封筒や手紙やらグッズの犯人は

恐らく俺にDMを送ってきた奴だろう。


＜すとぷりの爽やかな黄緑の水草
きみくんいっちゃってえええ！！＞


＜水草www>


なーくんに呼ばれているのに
俺は気付く。

すぐにミュートをオンにして、
出遅れながらも喋る。


「…あれ？何だったっけ？」


何て言われたのか忘れてしまい、
少し笑いながら話す。


＜ちょちょちょ、もう一回もう一回
take2いこ。take2>


ジェルくんに言われ、
もう一度スタンバイする。

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