第六話 初陣に未だ至らず ページ7
顔を赤らめ、布を手放さない初期刀。ハイテンションから我に帰り、沈黙したっきりの審神者。
妙な空気が流れ、非常に居た堪れない。
こんのすけは、今すぐこの場から回れ右をして逃げ出したかった。しかし悲しいかな。チュートリアルは丸々残っている。まだ、初期刀の顕現しか終わっていないのだ。
何でこんなに時間がかかるのだろうか。こんのすけは、自問自答したがむなしい気分になり止めた。
こんのすけは、今回の主に対し一抹はおろか五十三抹程の不安を抱きつつ口を開いた。
「……アノー、上巳様？ …次は刀剣男士様を出陣させて欲しいのですが…………」
「アッハイっ…て、えぇ！？ ……い、いや、ちょっと待って下さい」
ジリジリとにじり寄る上巳に、こんのすけは泣きたくなった。何故、自分がこんな目に……
「……上巳様？ ……何でしょうか」
聞かなければ、何も始まらない。こんのすけはおずおずと尋ねた。
「……あのねぇ、顕現して早速出陣は幾ら何でも早すぎやしませんか？？ …山姥切国広様も、人間の身体に慣れてなさそうだし。……何より、数が少なすぎる。囲まれたら幾ら何でもまずい。……単騎出陣は反対です」
上巳の瞳には理知的な光が宿っていた。
何という切り替えの早さ。こんのすけは、場違いながらも詐欺だと思った。
「……ですが、そういう規定ですし。……多くの審神者が通って来た道ですので」
「ですが」
「ちょっと、落ち着いたらどうだ」
尚も言い募る上巳を制止したのは、意外にも先程まで赤くなっていた山姥切国広だった。
「問題無い。……初陣で折れたケースは無いんだろ？」
思わぬ助け舟に、こんのすけは目を輝かせた。
「えぇ！！ 確かに初陣で折れたケースは一度もありません！！」
「……こいつもこう言っている。大丈夫だ。ちゃんと戻って来るから」
聞き分けの悪い幼子に言い聞かせるような口調に、こんのすけはおやっと思った。
(これは……)
「………………………………わかりました。大変不本意ですが、わかりました」
渋々頷いた上巳は、納得がいかないと言わんばかりの表情をしていた。
主のむっとした表情をみて、山姥切国広は小さく笑った。真っ直ぐにこちらを思いやって言っていることを、彼は理解したからだ。
「……それで、出陣はどうすれば良いんですかこんのすけ？？」
上巳の双眸は、こんのすけを真っ直ぐに見つめていた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
清河清明(プロフ) - 鞠璃音さん» コメントありがとうございます！！これからも頑張ります！！ (2016年10月23日 23時) (
レス) id: 4a48ec0504 (このIDを非表示/違反報告)
鞠璃音 - 友人に薦められて読みました！主人公の行動が斜め上で、面白いです。これからも更新頑張って下さい！！ (2016年10月23日 23時) (レス) id: 1bb56d4b39 (このIDを非表示/違反報告)
清河清明(プロフ) - ゆめゆさん» ご指摘ありがとうございます！きっちり修正しました。コメントありがとうございました！！ (2016年10月15日 15時) (レス) id: 4a48ec0504 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめゆ(プロフ) - 隊の名前が間違ってますよ！魚鱗陣に有利なのは逆行陣ですよ！ (2016年10月15日 15時) (レス) id: 31a1160be4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
