第二十六話 初めての食事 ページ29
「……そうなるか。しかし、写しの俺などが料理をしても」
戸惑ったような顔をしてぼそりと言った山姥切国広。それを骨喰藤四郎は咎めた。
「……山姥切国広だったか。……料理経験があるもの自体珍しいんだ。料理に使われたことがある刀剣何て、ここにもいないだろう」
「ははは、骨喰の言う通りだ。俺も、包丁代わりに料理で使われた経験は無い。……まあ、実戦で振るわれた事もないが」
山姥切国広は、前者に対しては天下五剣を包丁代わりに使う馬鹿がどこにいる、とツッコミたかった。しかし、後者のそれのインパクトに沈黙した。
「……すまなかった。以後気をつけよう。……だが…………」
「山姥切国広、落ち着いて。……とりあえず、大広間に行こうよ」
ーーーー
ーーー
大広間につくと、全員が目を見張った。目の前にはお盆がずらりと並んでいる。お盆には、おにぎりとたくあんがのった皿に、味噌汁、そして箸があった。
「……これは」
「あ、帰って来てたんですね！ ごめんなさい、迎えに行けなくて！！ ……えーと、ごめんなさいちょっと退いてもらっても？」
背後から上巳の声が聞こえる。思わず振り向く。そこには、大皿に歪な形のおにぎりを積んだ上巳の姿があった。
「……あんた……自分の分は？」
「後で持って来るよ！ あ、これ一応お代わり用。……七人分ってどれくらいかわからなかったから気持ち多めに作ったよ！！」
にこやかに上巳は言った。
「……あ、でも……私不器用だから、おにぎりの形は不恰好になってる。そこはごめんなさい」
そう言って、頭を下げようとする上巳を骨喰藤四郎は、押し留めた。
「……いや、大丈夫だ。……それは俺が運ぼう」
そう言って、上巳から大皿をいささか強引に取った。
「どこに運べば良い？」
骨喰藤四郎の行動に、上巳は困った顔をした。小夜左文字はそれを見て思った。
(神に運ばせるわけには……なんて思っているんだろうな。……そんなこと無いのに)
「えーと、こっちの机に運んで下さい」
「了解した」
骨喰藤四郎が運びに行ったのを確認し、上巳は残りの五振りの方へ顔を向けた。
「夕御飯の時間です！ 手を洗ったら、こっちに戻って来て下さいね！ そうしたら夕御飯です！！」
彼ら六振りは、その日初めて「食事」をした。彼らは、決して今日という日を忘れないだろう。
長い時を過ごして来た彼らは、初めて、今人間の身体を得ていることを実感した。
- 金 運: ★☆☆☆☆
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清河清明(プロフ) - 鞠璃音さん» コメントありがとうございます！！これからも頑張ります！！ (2016年10月23日 23時) (
レス) id: 4a48ec0504 (このIDを非表示/違反報告)
鞠璃音 - 友人に薦められて読みました！主人公の行動が斜め上で、面白いです。これからも更新頑張って下さい！！ (2016年10月23日 23時) (レス) id: 1bb56d4b39 (このIDを非表示/違反報告)
清河清明(プロフ) - ゆめゆさん» ご指摘ありがとうございます！きっちり修正しました。コメントありがとうございました！！ (2016年10月15日 15時) (レス) id: 4a48ec0504 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめゆ(プロフ) - 隊の名前が間違ってますよ！魚鱗陣に有利なのは逆行陣ですよ！ (2016年10月15日 15時) (レス) id: 31a1160be4 (このIDを非表示/違反報告)
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