34.姫野さんの気持ち ページ37
な、なんと女子の部屋割りをジャンケンで決めたら……
姫野さんと同じになっちまった!色んな意味で緊張するよ……
互いに無言で部屋に入り、重たい空気が流れる。
何か喋った方がいいよね!?どうしよう……
「カイト君に私が告白したのをAさんに伝えるように頼んだのは、私なの」
「へ?」
ベッドに腰掛けた姫野さんは、私とは別の方向を向いたまま突然言った。
つい間抜けな声を出してしまう私。
「だから、今言った通りよ」
彼女は私の目をまっすぐ見る。
いや言ったことは理解できたけど……
「どうして、私に?」
「彼にチャンスを与えたのよ」
珍しく静かに語る姫野さん。
でも目線は私から1ミリも外さない。
「チャンスって?」
素朴な疑問を投げ掛ける。
すると姫野さんはため息をつき、
「それくらいで自分で考えて。私はただ、自分の叶わぬ恋を、きっぱり諦めたかっただけだから。それに……」
そう言って、目線を下にうつむく。
「それに?」
さっきから頭からハテナマークが消えないよ!
彼女はまた私に向き直し、
「カイト君には……他に……大事に思っている人がいるから!」
顔を赤らめる姫野さん。
そしてまたうつむく。そっか。そうなんだ。
「姫野さんてさ、優しいんだね」
「え?」
「カイトのことを想って、そうしたんでしょ?本当は自分が一緒にいたいのに」
私は出来るだけ語り口を優しくする。
「え、ええ……」
「私あんまり勉強出来ないから……なんで私に告白したことを伝えるようにアイツに頼んだのか分からないけど……姫野さんの気持ち知れて良かったよ」
時々ベッドのシーツを掴みながら、私は言い切った。
「私も……あなたに言えて良かった」
姫野さんは微笑んだ。綺麗な顔が窓からの月の光に照らされ、いっそう引き立てる。
「ほら!明日の夜はバーベキューでしょ!それに明後日は森探検だし……まだまだ合宿あるからさ!早く寝よう!起きられなくなっちゃうよ」
パンと手を叩き、気分を切り替えるように私は出来るだけ声を明るくして言った。
「そうね、ありがとう。おやすみなさい、Aさん」
「おやすみ、姫野さん」
お互いにそれぞれのベッドに入り、目をつぶる。
そのあと、しばらく彼女の泣き声が聞こえていた……
ラッキーキャラクター
如月ちゃん(夢主)
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諸星夢月(プロフ) - アルゴンさん» ありがとうございます! (2018年8月11日 14時) (レス) id: 222891f609 (このIDを非表示/違反報告)
アルゴン - 面白いです!これからも頑張ってください( ^∀^) (2018年8月11日 11時) (レス) id: 1a9de2f6b0 (このIDを非表示/違反報告)
諸星夢月☆こみゅ行けません(プロフ) - しぇるんさん» ありがとうございます!テストで更新が滞っていますが、もうすぐ再開するので西園寺さんの活躍にもご期待ください! (2016年12月4日 9時) (レス) id: acc2a9a5be (このIDを非表示/違反報告)
しぇるん(プロフ) - 面白いです!!そしてヒドインだけど西園寺さん好きですw更新待ってます! (2016年12月4日 9時) (レス) id: ac3cde1086 (このIDを非表示/違反報告)
諸星夢月☆こみゅ行けません(プロフ) - あいさん» ありがとうございます!前からずっと温めていたストーリーなので嬉しいです(o^−^o)色の変え方は私も他の方の配布CSSを借りているだけなので、よく分からないです。「CSS」で検索すると、分かりやすく説明している作品もあるようですが……。お力になれず申し訳ないです (2016年11月22日 17時) (レス) id: acc2a9a5be (このIDを非表示/違反報告)
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