【呪術廻戦】無敵は 夏油傑の過去を廻る【男主】

運試し ページ9

A side.



何処からともなく湧いてくる、沸々とした怒り。



怒りの矛先は、自分。

そして、夏油傑を殺したこの世界。




『………あぁ、そうだ。過去に戻ろう』




まだ傑が、笑えている過去に。

何もやる気が起きなくなり、ふとそんなアイデアが頭に浮かんだ。


そうなれば行動は早い。




『＿＿術式展開＿＿術式順転「蒼」』




五条悟の術式。無下限呪術の順転。
呪力操作がかなり難しく、俺が視てきた中でも一番理解に時間がかかった術式だ。

※【ちょこっと解説】
(Aくん:約1、2秒程度)
(並の呪術師:早くて1ヶ月)




日本中を見渡せる位置にふわふわと浮かぶ。


遠隔で過去視を使うのは初めてだから上手くいかないかもしれない。

それでも怒りと悲しみでぐちゃぐちゃになった頭は、傑を助けることしか考えられなかった。




≪過去視≫


日本にいる一人一人の過去を隅々まで視る。
その中で呪術を使ったことがある呪術師の記憶を探し出し、お目当ての術式を使用しているところを見ていないか視る。

この繰り返し。


流石にたくさんの情報が流れ込んできて狂いそうだから、不必要なものは記憶のゴミ箱的な感じでそこに破棄していくようにした。まぁ無意識でやってるわけじゃないからそっちにも頭使うんだけど。




芻霊呪法、赤血操術……違う、違うな……誰も持っていない。

日本にはいないのか………？いや、そもそもそんな術式存在しないのか………




『いや………ｯ、…無い……なら、海外…だ、……』




さらに遠くの方まで意識を向ける。


息をするのもキツい、意識もギリギリ保っていられるか危ういぐらいだ。

その上過去視を使いすぎた影響か、映像が途切れ途切れになるようになった。




耐えろ、俺………傑を、たすけ……るんだろｯ！！


最後の力を振り絞る気持ちで、ひたすら探した。





その瞬間、世界が暗転した。




辺りは真っ暗、その中に一筋の稲妻のような光が見える。


そして世界が歪んで、真っ暗な闇の中に放り出された。






―――――時間操作の術式。


瞬間的に、驚くほど簡単に脳が理解した。




術式の仕組みを理解するのに、時間はかからなかった。


せめて…せめて灰原が死ぬ前、に




『＿＿術式展開＿＿――――――』




空間がぐにゃりと歪み、世界が真っ暗な闇に包まれる。






身体が押しつぶされるような不快感。




弱弱しい頭痛は一瞬で割れるような酷い痛みに変わり、俺はそのまま意識を手放した。

流石、善悪の指針→←術式展開

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す