本当の仲間は知っている

罠に嵌る ページ4

秀明の授業が終わって、カフェテリアに向かう。

もちろん、全力ダッシュ！




カフェテリアに着くなり、辺りを見渡すと、1番隅に座っているKZが目に入ったんだ。

気持ちが一気に明るくなって、早歩きで向かう。



歩いている途中にふと、KZメンバーじゃない人も目に入ったの。

そして、頭が真っ白になった。




だって、そこに居たのは、私の強敵……黒沢さんだったんだもの。




ど、どういうこと？

そもそも黒沢さんは秀明生徒じゃない。


それなのに、ここに居るの？

しかも、KZのみんなと話してる。




心拍数が上がり、恐怖で足が止まる。

で、でも、ここで立ち止まってても駄目だよね。



深呼吸をして、KZに向かって走りかける。


「み、みんな、送れてごめん。」

必死に声を振り絞って、出てきたのはその言葉だけだった。


すると、KZから刃の如く鋭く、冷たい視線が送られる。

怒りが混じり、軽蔑しているかのような視線……。



意味が分からない状況に、息を呑み、震える声を出す。

「皆、どうしたの……？」



そう言った瞬間、KZが沸騰した。


「どうしたのじゃねーよ！」

「よくここに来れたよな。」

「罪の意識がないのかな？」




口々に言うみんな……。

私の頭は混乱状態！


「待って！どういうこと？！」




「これ見てよ。」

そう小塚君から見せられた写真は、私らしき後ろ姿が写っている。

そして、黒沢さんが私らしき前に倒れ、泣いていたのが分かった。



この写真、何！？

何より、これは私じゃない！


まさか、KZのみんなはこれが私に見えてるの……？

それに、繋ぎ目も何か変だし……。




これ、合成写真かもしれない。



合成写真のことは知っていた。

それぞれ別の写真を合成することで、1枚の写真に見せるというもの。




私が1人考えている間に、話はどんどん進んでいた。



「お前なんかと心の友やっていたなんて、恥ずかしい。
　もう心の友なんかじゃない。」

鋭く目を光らせ、睨みつける翼。




ねえ、貴方達、私より頭いいんでしょ？

どうして、こんなのに騙されるの？



それとも……最初から私は仲間じゃなかった？




今にも倒れそうなくらい、クラクラする。

でも……そんな時、ある人が声を出した。


「俺は、立花は何もやっていないと思うけど。」

紫の長い髪を靡かせる忍。



今にも涙が溢れそうだった。

こんな状況でも信じてくれるの……？

七鬼が信じた理由→←悲劇の予感

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す