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「何故彼があの場で倒れていたのか。その場に散乱していた″欠片″は何か。鑑定結果は出ていませんが…
我々は職業柄、
再び心臓が嫌な音をたてた。
彼の手には袋に入った、"私が異能で生成した"結晶。
……この人はきっともう、分かっているのだろう。
その上で聞いてくるのだから性格が悪い、掌で転がされている気分。
「それに、彼が人質にしたという女性の特徴を聞き出したのですが。
_____先程店長からお聞きした貴女の容姿と、そっくりなんですよ?」
「ッ……」
ほら、やっぱり。
彼らに誤魔化しは通用しないらしい。
「ふふふ、何も逮捕するわけではありませんよ。ただ聴取にご協力願いたいだけです。
ねぇ、鐵腸さん?」
そう云って振り返り、既に歩み寄って来ていた彼に話を振る。
『鐵腸さん』と呼ばれた彼は癖の強い黒髪で、目元の
彼は外套の下で、カチャリと柄に手をかけていた。
「そろそろ隊長の代わりに、条野の悪い癖を窘める処だった」
「懸命に取り繕う姿にそそられてしまいまして、つい。大体の事は心音で分かっていましたが」
え、心音……?
聴診器を当てる方法以外で聞こえる事なんてあるのか?
私は何が何やら分からなくて、ただ呆気にとられていた。
「それで、聴取に協力願いたい」
「……面倒なので、お断りしたいのですが」
「此方はそれでも構いませんが、後日署まで連行されるよりはラクでしょう?」
わぁ。後者の方が変な目で見られること間違いなしであり、後々に面倒なタイプだね。
その脅し文句に直ぐさま屈し、私は即座にテーブル席の椅子へ腰掛けた
白髪の彼は笑みを零し、黒髪の彼と一緒に向かい側の椅子に座る。
「協力感謝する。俺は末広鐵腸という」
「私は条野採菊と申します。私たちは軍警の者です」
「ご丁寧にどうも…。椿木Aと申します」
………一刻も早く、この状況から脱出したい。
薫さんの帰宅、という淡い期待を込めて扉を見ても、それが開かれることは無かった。
なんなら"準備中"のプレートが掛けられている。
……くそぅ、薫さんめ。これは当分戻って来ないパターンだ。
「さて、では始めましょうか。Aさん、貴女が被疑者に捕まるまで何をしていましたか?」
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オタク - コメント失礼します!まだ一編目しか読めてませんが、すでに沼にはまってます!!言葉選びとか、キャラの口調をしっかりとらえてるところももう、すごくいいです!素敵な作品をありがとうございます!二、三弾目もじっくり楽しみながら読ませていただきます! (10月15日 6時) (レス) @page50 id: 7a68ba3320 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ショートケーキの赤いヤツさん» 同じく刺さってます笑、彼のS属性(笑)を薄っすらと出しつつグイグイ行って貰おうと思います!これからも宜しくお願いします(*^^*) (2021年8月21日 23時) (レス) id: 64577bab6f (このIDを非表示/違反報告)
ショートケーキの赤いヤツ - 条野さんのS感ヤバいですよね……刺さる←条野さんが推しなので更新楽しみにしています! (2021年8月21日 16時) (レス) id: 0727e3cb02 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - うり太郎さん» コメント有り難う御座います!そう云って頂けて嬉しいです(*´ω`*)更新途中ですが続編も是非宜しくお願いします!も (2021年8月21日 0時) (レス) id: 64577bab6f (このIDを非表示/違反報告)
うり太郎(プロフ) - ヤバい・・・・・・!尊い・・・・・・!こんな神作品を作れる作者様マジでリスペクトします!!今読み途中なんで今すぐ続き行ってきます┗(^o^ )┓三 (2021年8月19日 23時) (レス) id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作成日時:2021年1月7日 23時