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No side.
ﾋﾟｷｯ＿＿＿＿＿
ｼﾝｯと静まった空間に鳴った不穏な音。
俯く彼女の周りには、無数の針が浮かんでいた。
今日の雨模様を映した半透明な結晶の鋭い先端は全て、隣に腰掛ける彼に向いている。
「はぁッ、は……ッ」
椿木は肩で荒く呼吸を繰り返し、条野の手を強く握り締めた。
宛ら、溢れ出しそうな押し入れの戸を抑え込むかのようだった。
「………」
そんな彼女を、条野は黙って見ていた。
様子を見ている、というのは建前で本当はどうすることも出来なかった。
あたかも彼女を飲み込もうとする真っ黒いナニカから引き留める様に、すっかり冷たくなってしまった華奢な手を、強く掴む事しか……出来なかった。
「＿＿＿＿＿＿すみません。少し、取り乱しました」
長いように感じるが短い時間で、俯いたままの椿木が口を開いた。
先程までの震えも、苦し気な様子もなく、開きかけたパンドラの箱もしっかり施錠したらしい。
……それでも、負った傷は大きかったようで。
椿木は条野の手から抜け出し、自分の足元にかかっていた毛布を手に取った。
それで身体全体を覆い、彼に背を向けてごろんと転がる。
「……嫌気がさしたんです。こんな世界に、自分に。いっそ死んでしまいたいと思うくらい」
それだけを云って、小さく丸まった。
宛ら、襲い来る恐怖から自分を守るかのように。
この時初めて、椿木の背中がひどく小さく見えた。
「……」
返す言葉が見つからない代わりに、条野はベッドに横たわる彼女へ手を伸ばした。
「ッな、なんですか……ッ！？」
彼が動く気配を感じてか、仰向けになりながらも此方を見た彼女の背と膝裏に手を差し込み抱き上げた。
唖然として固まる椿木を気にも留めず、毛布はそのまま自身の膝上に下した条野。
片腕で彼女を支え、空いている手で彼女の頬に触れる。
「…すみません。少々強引すぎました」
「別に…。最初から尋問が目的だったのでしょう？」
「否定はしません。ただ貴女が想像以上に強情だったものですから、つい急いでしまっただけです」
彼の科白にあからさまに眉をひそめ、椿木は自身の頬にあった大きく骨ばった手を払った。
そして、身体を包んでいた毛布を引っ張り、頭まですっぽり被った。
「あの、寝たいので。放してもらっても？」
「却下で。このままどうぞおやすみなさい」
「こちらこそ却下します……ッ！？」
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オタク - コメント失礼します！まだ一編目しか読めてませんが、すでに沼にはまってます！！言葉選びとか、キャラの口調をしっかりとらえてるところももう、すごくいいです！素敵な作品をありがとうございます！二、三弾目もじっくり楽しみながら読ませていただきます！ (10月15日 6時) (
レス) @page50 id: 7a68ba3320 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ショートケーキの赤いヤツさん» 同じく刺さってます笑、彼のS属性（笑）を薄っすらと出しつつグイグイ行って貰おうと思います！これからも宜しくお願いします(*^^*) (2021年8月21日 23時) (レス) id: 64577bab6f (このIDを非表示/違反報告)
ショートケーキの赤いヤツ - 条野さんのS感ヤバいですよね……刺さる←条野さんが推しなので更新楽しみにしています！ (2021年8月21日 16時) (レス) id: 0727e3cb02 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - うり太郎さん» コメント有り難う御座います！そう云って頂けて嬉しいです(*´ω｀*)更新途中ですが続編も是非宜しくお願いします！も (2021年8月21日 0時) (レス) id: 64577bab6f (このIDを非表示/違反報告)
うり太郎(プロフ) - ヤバい･･････!尊い･･････!こんな神作品を作れる作者様マジでリスペクトします!!今読み途中なんで今すぐ続き行ってきます┗(^o^ )┓三 (2021年8月19日 23時) (レス) id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハル | 作成日時：2021年1月7日 23時
