７１ ページ25
「それに、身内……身内だと認めたくねぇが、クソ親父が変なこと言ったの、本当に悪かった」
「あー、それ私も言い返しちゃったしなぁ……轟くんには申し訳ないけど、なんというかー……道具としてしか見られていないようで、カチンと来ちゃったというか」
「ああ、クソ親父は昔からそうだ、俺のこともオールマイトを超えるための道具だとしか見てねぇ」
そこから轟は、緑谷に話していた内容と同じものを話してくれた。
ごめん、知ってる……とは言えなかったAは、罪悪感に押しつぶされそうだったが。
「クソ親父の個性を使わず1番になることで、奴を完全否定する」
「うん」
「………そう思ってたんだが、わからなくなった。自分が正しいのかどうか。自分がどうするべきか」
なるほど、緑谷と戦った中で吹っ切れたところもあるけど、だからこそ悩みが増えてしまったというところだろう。
随分と、難儀な問題だ。Aがうだうだ考えていたアピールタイムの瞬間なんかよりも、ずっと。
正直、轟の問題に対してAが言えることは無いだろう。これは轟自身の問題で、彼が答えを見つけなければならない。
ただひとつ、気になることがあった。
「轟くん、次の試合……左側の炎、使う？」
「それは………分からねぇ」
「………………そっか」
「けど……」
─── 「次の試合は、エンデヴァーの息子とレーヴの娘の対決ではない……轟焦凍と、吉澤Aの戦いです」
─── 「次の試合は、誰のためでもない。吉澤Aが自分のために、轟焦凍と対戦する。それ以外に深い意味はありません」
「自分のために……」
「？」
え、ごめん、このタイミングで考え込まないで欲しいのだけど……
何かを悩むように考え始めた轟に対して、Aはとりあえずあまり邪魔にならない程度に見つめるしかやることが無い。
たまに「個性は体の一部……」などと呟いていたけど、殆ど黙って考え事をしていた。
途中本当にどうしていいのか分からなくなって、轟越しに見える壁のシミでも探し始めていた時、ようやく考えが纏まったのかAの方を見た。
「次の試合、俺の為に戦ってもいいと思うか……？」
「え、いいに決まってるじゃん」
正直、何を今更と言った感じなのだけど。
あっけらかんと言えば、Aの言葉を聞いた轟が少しだけ笑ったように感じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 153人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくらもち(プロフ) - 夢桜さん» 感想ありがとうございます。体育祭での準決勝は、何度も頭の中でシュミレーションしながら文を考えたので、そう言っていただけて本当に嬉しいです！お気に入りもありがとうございます！ (2020年10月19日 12時) (
レス) id: ab0ed3cc07 (このIDを非表示/違反報告)
夢桜(プロフ) - ご感想失礼します。吉澤ちゃんが轟戦でWonderlandと叫んだ瞬間と、その個性の威力にとても驚きました！！戦闘シーンも分かりやすくそんな模写が頭を過ぎって凄い凄いと語彙力が飛んでしまいました……！お気に入り失礼します。これからも無理せず頑張ってください！！ (2020年10月18日 10時) (レス) id: 505f8e7c76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくらもち | 作成日時：2020年10月14日 7時
