ヴィラン個性でもヒーローになりたい…？ (ページ43)

今日:21 hit、昨日:0 hit、合計:135,112 hit

４１ページ43

そんな彼が、何故A組のAに声をかけたのか。

いや、そもそもなんでAのことを知っているんだ？
あの日も急いでいたから爆豪の後に続いて教室を出た時にすれ違ったくらいでしか会ったことがないというのに。

そして、がっしりと強く掴まれている手が離れない。

もう怪しさ満載、ここが外で知らない人だったら即逃げていたほどだ。

とりあえずここから離れようとAはすぐに思った。掴まれた手の親指をぐっとVの字に開き、相手の手首をV字の股に引っ掛ける。そのまま腕を持ち上げれば簡単に手が離れていったので、そのままAは振り返ることをせずに猛ダッシュでその場を逃げ出した。

後ろから「……やっぱ上位互換なら効かないってか」とボソリと呟いた声が聞こえた。

「轟くん！一緒に組んで下さい！」

「ああ、俺からも声かけようと思っていた」

「ありがとう！」

走った先にはまだこちらを見ていた轟がいて、そのまま騎馬戦に誘えば即了承の返事が貰えて、無事にAは一緒に組む相手を見つけることが出来た。

そのまま轟は飯田を誘うらしく、声をかけに言っている間にAは同じく轟チームの八百万に話しかけられていた。

「それよりも吉澤さん、先程は大丈夫でした？腕を掴まれていたような気がしましたが……」

「うん、ちょっと驚いたけどすぐに腕を外したから大丈夫だよ」

「そうですか？それなら……ああ！吉澤さん！掴まれたところが赤くなってますわ！」

「へ？あ、本当だ……そんなに強く掴まれてたんだ……」

「今すぐ手当をしましょう！！？」

「だ、大丈夫！このくらいなら大丈夫だから！」

轟が飯田を連れてくるまでずっと手当をするしないの言い合いを続けていた。

───

《補足》

心操くんがAに目をつけたのは、障害物競走でロボットを操っている
→自分と同じく操ることが出来る個性、それも物に対しても使える個性
→自分の上位互換だと誤って認識してしまったため。

別に声をかけて個性にかけるのは誰でもよかったけど、敢えてAを選んだのはヒーロー科で自分の上位互換の個性を持つAに対抗心が湧いてしまったから。
これでもしAが個性にかかれば「上位互換でも大した事ないな」と少し優越感を感じていたのでは無いかと思っています。

残念なことに作中はAに怪しいと判断されて逃げられましたが……

腕を掴んだのは、AがA組の輪の中に入っていこうとしたのを咄嗟に止めようとしたためです。