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「担任の相澤消太だ、よろしくね。さっそくだが全員、体操服来てグラウンドへ出ろ」
朝ごはんのおにぎりを食べることなく、A は何故か着替えることになってしまった。
え？お腹空いたんですが……なんて言える度胸も無く、Aは心の中で文句を言いまくっていた。
女子更衣室に向かう途中、女子同士ということで全員一緒に向かう。
もう仲良くなったのか、ワイワイと楽しそうに話している彼女達をボーッと見ながら着いていっていると、Aの事を気にしたのか1人の女の子が隣に並んだ。
「吉澤さんですよね？顔色が少し優れないように見えますが、大丈夫ですか？」
黒髪をポニーテールにしている背の高いキレイな女の子だ。確かAの前の席に座っている女の子だったはずだが、残念なことに名前が分からなかった。
「大丈夫、朝ごはん食べそびれちゃっただけなので。えっと……」
「自己紹介がまだでしたわ。私は八百万百と申します。前後の席ですし、よろしくお願いいたしますね」
「よろしくね」
「それよりも、朝食抜きなのは本当に大丈夫なのですか…？」
大丈夫じゃない。大丈夫じゃないよ八百万さん。昨日の夕ご飯が19時だったから、軽く13時間は何も食べていないことになる。めっちゃ腹減った。
とはいえそれを今彼女に言った所で無意味なので、「終わったらちゃんと食べることにするよ」と曖昧に笑った。
「ええ？！朝ごはん食べてないのー！？」
「それめっちゃお腹空かない？！」
Aと八百万の間に、グイグイと白目部分が黒いピンクの肌とクセのある肌と同じピンクのショートヘアにライトベージュの角がある女子が入ってきた。後多分透明人間。制服だけが浮いているので、一瞬だけAは目を見開いてしまった。
「私は芦戸三奈！よろしくー！」
「あ、私は葉隠透！よろしくね！」
「吉澤Aです。よろしくね」
やべえめっちゃノリのいい陽キャが来てしまった。というかさっきまであんなに楽しそうに前で話していたのだから続ければいいのに。
若干どころじゃなくかなり弄れた感情を押し込み、Aは笑顔を浮かべて自己紹介をした。
第一印象は大事だと、母親から教わっていたからである。
………ヴィランの教えを律儀に大切にする必要は果たしてあるのだろうか……
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作者名：さくらもち | 作成日時：2020年10月9日 9時
