ヴィラン個性でもヒーローになりたい…？ (ページ37)

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『障害物競走』

ミッドナイトの説明では、計11クラスの総当たり。つまり、1度に全員が走り出すらしい。
そしてコースの全長は4キロと通常の障害物競走よりも明らかに長く、更にはコースを守れば何をしても構わないとの事だった。

ミッドナイトは上位何名が予選通過かは言われなかった。ここから既に精神的に焦らせているのだろう。

……毎年の雄英高校については調べてきたが、確か本線に行けるのは16人から多くても24人くらいだったはず。
つまり究極を言えば16位以内に入れば確実に予選第2試合に進めるだろう。

だけど、ここはあくまでも予選第1試合。第2試合をするためにもそれなりに人数は必要だろう。
となると……倍は必要だろうか。次はおそらく団体戦になるはずだから、16×2で32人までは通過になりそう？

「よし、目標は10位から20位の間に入ること。焦りは禁物。体力、個性はどちらも温存方向で」

考えをまとめながら、ずらずらと大量の生徒たちと同様にゲート前に並ぶ。クラスの1番後ろに並んでいたこともあり、先頭集団の中に入り込めた。ゲートの上部には3つのランプがあり、それが全て消えたらスタートの合図だ。

「……お」

「あれ、轟くん。わざわざ先頭に来たん………アッ」

スタートの合図を待っていると、人を掻き分けてやってきたらしい轟が隣に並んだ。
いや、轟の実力なら人の間を通ってまで来る必要は無いのではないか……と思った時に、ようやく彼がやりたい事を察したのだった。遅過ぎる。

「でも、そっか。ここで一気に落とすのもアリってことか。轟くん、便乗しても良い？」

「好きにしろよ」

「ありがとう」

さて、許可を貰ったので轟と同様にこの最初のトンネルで一発、妨害させてもらおうでは無いか。
何にしようか。おそらく轟は氷結で足元を固めたりするのではないかと思っているのだが……それなら似たような事をさせてもらおう。

妨害方法がまとまったところで、ようやくランプが順々に消えていく。そしてついに、最後のランプが消える。

「スタート！！！」

ミッドナイトの号令と同時に、轟の背中を追うようにAも走り出した。