ヴィラン個性でもヒーローになりたい…？ (ページ33)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:135,097 hit

３１ページ33

時は過ぎ放課後。

Aは相澤先生に職員室に呼び出されていた。

「吉澤、体育祭が始まる前に確認しておきたいことがある」

「はい」

「お前は、体育祭に出る覚悟があるか？」

「それは……」

相澤先生の真剣な目に、Aは一瞬たじろいでしまった。
それを見逃すこと無く、相澤先生は言葉を続ける。

「お前も分かっているだろうが、体育祭でお前の顔と名前、そして個性が全国に知れ渡る。そうすれば、いつか吉澤がレーヴの娘だとバレる可能性はかなり高くなる。ヴィランの娘と言うだけでお前を叩いてくるやつも少なくは無いだろう。それでもお前は体育祭に出るか」

厳しい言葉のように聞こえるが、相澤先生が言ったことは全て事実だ。
それに、Aにはどちらかと言えば相澤先生が心配して言ってくれたのだと感じて、少しだけ嬉しかった。

「勿論参加します。確かに色々と言われたりすることもあると思います。ですが、私は自分の個性を、誰かを救うために使いたいです」

………まあ、それがイコールでヒーローになるということに繋がるのかと言われたら……まだなんとも言えないけど。
それでも、おじいちゃんとおばあちゃんがこれで安心してくれるのならば、それでいいとAは思っていた。

相澤先生の望む回答を言えたかは分からないが、「そうか」と言ったきり何か他に言われなかったので、まぁ合格点……体育祭には出して貰えそうなので一安心した。

「そういえば相澤先生、先程A組の前に普通科やB組、サポート科などの生徒が大勢集まって、道を塞がれてしまったのですが」

「詳しく話せ」

「はい。敵情視察に来た人が大半でしたが、中には宣戦布告をしに来た普通科の生徒、そしてヴィラン襲撃についての話を聞きに来たというB組の生徒がいました。他にも扉から中を覗き込む生徒などもいて、爆豪が怒鳴るまで誰1人として外に出られない状況でした。例えるなら……入学早々にいたマスコミ達のように、通行の邪魔でした」

実は職員室に来る前にAが言ったことのような出来事が起こっていた。
相澤先生に呼び出されていたにも関わらず出る事が困難で、正直困り果てていた。
結局、爆豪の後について行くことで脱出して今ここにいるのだが。

Aが相澤先生に報告したことにより、次の日各クラスの担任から注意を受けたらしいが、Aには関係の無いことだった。