ヴィラン個性でもヒーローになりたい…？ (ページ32)

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「何より雄英ウチの体育祭は"最大のチャンス"。敵ごときで中止していい催しじゃねぇ」

「全国のトップヒーローも観ますのよ。スカウト目的でね！」

「資格取得後はプロ事務所にサイドキック入りが定石だもんな」

「そっから独立しそびれて、万年サイドキックってのも多いんだよね。上鳴あんたそーなりそう。アホだし」

「くっ！」

確かに、卒業後はプロヒーローの相棒サイドキックになるのがセオリーとも言えるし、ヒーロー科卒業した生徒のほとんどがそのような道を選ぶのも事実だ。
勿論、卒業後に即独立して事務所を構えるヒーローや、フリーで活動をするヒーローもいる。が、それは学生時代にかなり目立った功績を残して知名度を上げてある人では無いと中々厳しいのではないだろうか。

将来的にAがどうしたいのか。具体的には自分の事務所を持ちたいのか、誰か自分にあったヒーローのサイドキックになりたいのか、まだ決まってはいない。

だけど、どんな将来を歩むにしても、この体育祭でより優秀な成績を収め、さらにプロヒーローや視聴者にアピールしておいて損はないだろう。

特にAの場合、いつ世間に親がヴィランだとバレてもおかしくない。それまでに出来るだけ好感度を稼いでおきたいものだ。

「当然、名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限、プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ。年に1回……計3回だけのチャンス。ヒーローを志すなら、絶対に外せないイベントだ！」

ヴィラン襲撃を受けた後すぐだったが、ほとんど全員が興奮や熱意を隠せないまま今日1日が始まった。

「ねーねー！やっぱりAちゃんも準備とかするの？」

「うん。特に私の個性はプロヒーローとかにアピールしにくいから、その辺を考えないと」

「あー、確かに幻覚、見えてない人には何が何だか分からないもんね」

休み時間に話しかけてくれた葉隠の言う通りだ。
Aの幻覚は相手を倒すのにはかなり向いているが、幻覚にかかってない人から見ると、イマイチ何が起こっていて、Aが何の幻覚を見せているのかが分かりにくい。

勿論、複数人に幻覚をかけられるが、観客全員となると話は別だ。
プロヒーローや視聴者にアピールをするためには、1番の課題になるだろうとAは考えていた。