ヴィラン個性でもヒーローになりたい…？ (ページ24)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:135,098 hit

２２ページ24

「すっげー！USJかよ！」

「あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も………U(嘘の)S(災害や)J(事故ルーム)！」

本当に名前がUSJだった。
視界に入りきらないほどの巨大な施設に興奮するA組の前に現れたのは、スペースヒーロー・13号だ。おそらく相澤先生が言っていた『もう1人』が13号なのだろう。

確か13号は災害救助のエキスパートとして、災害大国日本で非常に有名で実績のあるヒーローだったはず。つまり、他のヒーローと比べて救助活動の能力はずば抜けている。

そんな人に初めから教えて貰えるなんて、流石は雄英高校だ、とAは胸の高鳴りを感じていた。

「えー、始める前にお小言を1つ2つ、3つ……4つ。皆さんご存知とは思いますが、僕の個性は"ブラックホール"。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」

「その"個性"で、とんな災害からも人々を救い上げるんですよね」

「ええ。しかし同時に、簡単に人を殺せる力でもあります。皆さんの中にも、そういう個性を持つ人がいるでしょう。超人社会は"個性"の使用を資格制にし、厳しく規制することで、一見成り立っているように見えます。……ですが、一歩間違えれば容易に人を殺めてしまう、そういった"いきすぎた個性"を個々人が持っているということを忘れないでください」

13号の言葉は、Aの胸に深く刺さった。
一見Aの個性である幻覚は無害のように思える人も多いだろう。実際、このクラスにいる何人かは、Aの個性が『ただ幻覚を見せるだけ』と思っているかもしれない。

だがAは相手に強力な幻覚を見せることが出来る。そしてAが望んで力を使えば、幻覚の最中に負った傷も現実の体に作用することが出来る。

例えば、炎で火傷を負わせた幻覚を見せた場合、実際の体にも火傷の跡が残ってしまう。

「相澤さんの体力テストで自分の秘めている可能性を知り、オールマイトの戦闘訓練でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。この授業では心機一転！人命のために、どう"個性"を活用するのかを学んでいきましょう！君たちの力は、傷つけるためにあるのではなく、救けるためにあるのだと、心得て帰ってくださいな」

ペコリと頭を下げた13号に、生徒たちから拍手が送られる。Aも13号に対して出来る限りの拍手を送った。