ヴィラン個性でもヒーローになりたい…？ (ページ23)

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「バスの席順でスムーズにいくよう番号順に並んでおこう！」

全員が集まったのを確認すると、飯田が張り切って声を掛けていた。それにしっかりと従って2列に並ぶのだから、ヒーロー科は流石としか言えない。
Aも1番後ろに耳郎と共に並んでいた。

「ここで『いや小学生かよ』って誰も言わないところを見ると、本当に育ちの良さというか、人の良さを感じるよね」

「……確かに。これが中学だったら絶対並ばない奴とかいたわ」

耳郎もどうやら同じような意見のようだった。
残念なのは、バスの座席が飯田の想像していた前向きシートではなかったことくらいだろう。
最後に乗り込んだAは、耳郎が爆豪の隣に座ったため、空いている轟の隣に座らせてもらった。

……というか、何故かめちゃくちゃ威嚇をされていたAのことを思って、わざわざ爆豪の隣を選んでくれたのだろう。ありがとう、今度なにか奢ります、とAは心の中で耳郎にお礼を言っている間にバスは発車した。

どうやら前の座席に賑やかなクラスメイト達が固まっているらしく、個性の話で盛り上がっていた。蛙吹が緑谷の個性をオールマイトと似ていると言ったり、プロとしては強さはもちろん派手さも人気商売という点では必要ではないかと話したり。

切島が「派手でつえぇっつったら、やっぱ轟と爆豪だな」と言っていたが、それに関してはAも同じ意見だ。

派手というか、単に目立つという事も含まれるだろうが。
少なくともあの日のヒーロー基礎学、もし轟と対戦していたら即負け……ということは無いにしても、動きが制限される分かなり苦労する結果になっていただろう。それは爆豪にも言える。

幻覚として再現するには、やはりそれだけ頭を回転させる必要がある。勿論鍛えてきたAは簡単にやられるとは思えないが、クラス1を誇るだろう反射速度に追いつけるかと言われたら……Aもまだまだ成長が足りない。

「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気でなさそ」

「んだとコラ出すわ！！！」

「ほら」

……いや、もしかしたら悪役っぽいダークヒーロー的な存在ならワンチャン……いや、やっぱそれ以上に顔が怖いわ。

クラスメイトの話に心の中で突っ込んでいるうちに、どうやらバスが目的地に到着したようで、Aもクラスメイト達と同様にバスを降りた。