ヴィラン個性でもヒーローになりたい…？ (ページ19)

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「そこの『吉澤が何をしたのか』が1番聞きたいんだよこっちは！！！」

「見ただけだったら何故かヤオモモが窓を開けたようにしか見えなかったんだってばー！」

「峰田も目が合ったのに吉澤の事スルーしてるし！」

「え、えーっと、吉澤少女。良ければその所を詳しく聞きたいのだけどなぁ……」

「すみません、文字数の関係で」

「吉澤、メタは止めなさい」

耳郎に窘められたところで、Aは自分の個性について話し始めた。
窓を覗いたところで、Aが敵側に幻覚を使用し、Aと耳郎の姿が見えないようにした。
そして八百万に『武器がしまってある扉を開く』幻覚で誘導し、窓を開けてもらったこと。
後はそのままAが侵入し核にターッチ！ということである。

今まで知られていなかったAの個性、幻覚。それを知ったクラスメイトの反応はそれぞれだった。

すげー！と目を輝かせる人。
おそらくAの母親を思いだし、微妙な顔をする人。
興味無さげに視線を逸らす人。
ギラギラとした目で見てくる人。

これから、Aは彼らと共にヒーローになるのだ。
Aは思わず口角を上げてしまった。

この後、オールマイトのまとめによって第4試合はひと段落ついた。

勿論対人屋内戦闘訓練はまだまだ続き、授業の終了時間目前になってようやく全チームの戦闘訓練が終了した。

　
「お疲れさん！！緑谷少年以外は大きな怪我もなし！しかし真摯に取り組んだ！！初めての訓練にしちゃ、皆上出来だったぜ！」

「相澤先生の後でこんな真っ当な授業……何か、拍子抜けというか……」

「真っ当な授業もまた私たちの自由さ！それじゃあ私は緑谷少年に講評を聞かせねば！着替えて教室にお戻り！！」
　
オールマイトは一足先に演習場から出ていった後、ようやくA達も着替えるためにそれぞれ更衣室に向かった。

「なあ、反省会やんね！？親睦を深める意味も込めて！」

着替え終えて教室に戻ったところでそう声をあげたのは、上鳴だった。
それに賛同する声を聞きながらAは帰る準備を進める。

「あれ？吉澤帰っちゃうの？」

「ごめんね、家族が今日お祝いしようってお寿司頼んじゃったみたいで……もし何かあったら明日以降聞いて」

「そっか！吉澤バイバーイ！」

芦戸の声を背に、Aは教室から一足早く退出した。