ヴィラン個性でもヒーローになりたい…？ (ページ15)

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続く第2試合は、言葉通り瞬殺で終わった。
推薦入学者の1人、轟焦凍というらしい人が個性を使ってビル全体を凍らせたのだ。

初見殺しにも程がある。Aが言うなっと誰かに言われそうだが。

そのままビルも無事に破壊されることなく第3試合も終わり、遂に第4試合が始まろうとしていた。

「Gチームがヒーロー！Cチームが敵だ！」

「耳郎、吉澤がヒーロー。対する八百万、峰田が敵か」

「八百万の個性は厄介だろ」

「峰田の個性も、使い方によってはかなり強敵だよねー」

「やっぱ敵側の方が有利か？」

「そういや、吉澤と耳郎の個性ってなんだ？」

次の対戦カードが発表され、一気に騒がしくなる中でAは耳郎と共に部屋を出た。
途中で先にビルの中に入っていく八百万、峰田と別れ、ビルの入口で待機となる。

お先に、と言って去っていった2人の姿を、Aはしっかりと目に焼き付けた。

「敵側の個性だけど、八百万が自由に道具を作る個性、峰田が……多分、強力な粘着ボールのようなものだと思うけど」

「うん、私も同じ。罠とかも想定しておいた方がいいね」

「意外と部屋にこもっての持久戦になるかもしれない」

「待ち伏せが基本だろうね。つまりこちらから動くしかない」

「やっぱり、八百万が厄介」

「うん。峰田くんも侮っちゃいけないけど、私達の勝利条件は、八百万さんをいかに攻略するかだと思う」

昨日見た感じだと、八百万はものを作り出すまでに若干の時間を使うのだろう。
時に大砲やバイクを出した時はかなり時間をかけて作っていたから、そうなるとやはりこの5分の間に武器を作り出しておくというのが一般的だろう。

峰田の個性も、攻撃にも使えるし捕獲にも使える。昨日のテストでは20位だったとはいえ、油断はできない。

……正直、かなりセコい方法なら即勝利確定なんだけど。

Aの幻覚という個性、勿論発動するには条件がある。
それは『幻覚にかけたい相手を視界に収めること』…つまり相澤先生と同様に相手を見ることで個性が発動する。

そしてこれは最早チート技だが、その人の姿をA自身がしっかりと覚えている場合、相手の姿を見てから10分くらいなら個性が使えるのだ。

………何が言いたいかといえば、別れてからそれほど時間が経っていない今なら、2人に個性を使うことが出来るのだ。

まぁ、さすがに今回はそんなセコ技は使用しないが。

『では第4回戦、スタート！！』

耳郎と作戦会議を終わらせてからすぐに、オールマイトからの放送が聞こえてきた。
Aは耳郎と頷きあってから、ビルの中に入った。