ヴィラン個性でもヒーローになりたい…？ (ページ14)

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試験場となるビルの地下に用意されたモニタールムにAを含めた待機組は集まる。
敵はビル内に入ってセッティングを行い、5分後にヒーローがビルに入る。

最初の組はヒーロー側に緑谷と麗日、敵側に爆豪と飯田となっていた。

「吉澤、今回はどうなると思う？」

「普通に考えれば敵側が有利だよね。それに爆豪くんも飯田くんも個性がかなり対人戦闘向けだから、組み合わせを考えれば有利なのはやっぱり敵側だと思う」

Aは敵側が勝つと予想していたが……それは色んな意味で裏切られることとなった。

結果は、全体としては緑谷と麗日のヒーロー側の勝利だったが、本当にこれで勝ったことでいいのか？と思う終わり方だったと思う。

怪我で搬送ロボで保健室に運ばれて行った緑谷以外が戻って来たところで、講評の時間へと移った。

「今回のMVPは飯田少年だ！」

「勝ったお茶子ちゃんか緑谷ちゃんじゃないの？」

いの一番にオールマイトは、突然最も良かった生徒に飯田を選んだ。蛙吹は疑問に思ったらしいが、AもMVPを選ぶとしたら飯田以外選べないと思う。

何故、飯田がMVPなのか。そこで手を挙げた八百万がオールマイトに促されて話し始めた。

まず爆豪については、モニターで見えていた通り私怨によっての単独行動。さらに隠れ家であるビルを大規模に破壊するという、実践なら許されない失態。これは緑谷にも当てはまることで、核兵器のある上階に向かって床を吹き飛ばす大規模攻撃。
麗日は気のゆるみに最後の攻撃の荒らさ。そして何より、訓練と侮って核を本物のように扱わなかったこと。

それに比べて飯田は、室内戦であることを十分に想定していた上、途中麗日に利用されないように部屋を片付けた冷静な判断。そして、これを『実践』と同じだという心構えで挑んだという点。
どう見ても飯田がMVPだろうとAは考えていたが、どうやら八百万も殆ど同じだったようだ。

………そして、言いたい事をおそらく殆ど言われてしまったオールマイトが慌てていたのが、少しだけ哀れに感じてしまった。