ヴィラン個性でもヒーローになりたい…？ (ページ12)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:135,093 hit

１０ページ12

「わぁ……！Aちゃん、可愛いコスチュームやね！」

「あ、ありがとう……」

やばい、1人だけ系統ミスった気がする。

Aは女子更衣室にて1人、こっそりと冷や汗をかいていた。
クラスメイトのコスチュームを見る限り、どちらかと言えば体のラインがほとんど出ている、より動きやすいものにしているのが分かる。

これはおそらく、彼女達がどちらかと言えば近接タイプの戦闘方法なのが理由なのだろう。動きやすいものに越したことはない。

一方Aはというと、一応格闘技などは悲しきことに、ヴィランである母親から叩き込まれていたので戦えないこともないが、Aの個性からして遠距離・サポート型である。
個性を相手に使用さえすればほぼ確実に勝てるのだから、わざわざ近づく必要もないのだ。

これらを考慮して、Aは動きやすさよりも拘束器具や念の為の拳銃型の武器が隠せるようにと、ふんわりと広がる膝上のスカートをチョイスした。
勿論、ウエストポーチも用意してもらったが、これで太ももの所に武器を隠し持てる。

後は、きっといつかAがヴィランの娘だとバレることを想定して、出来るだけ『正義のヒーロー』っぽいイメージになるようなデザインにしてもらった。

1番いいのは警察……ミニスカポリスなのだが、これだと何処からか批判が来そうなので、軍服をイメージしたデザインにしてもらった。

結果、1人だけ軍服風ゴスロリ系コスチュームを身にまとっていた。

……色が紺をメインとし、所々黒を使用したコスチュームで心底良かったと思う。これで赤やら白やらピンクやら使われた日には派手すぎてコスチュームを破り捨てていたかもしれない。

「かわいさだけじゃなくて、かっちりとした印象も与える素晴らしいコスチュームですわね！」

「ありがとう……八百万さんは……大丈夫？布少なくない？」

「そうでしょうか？要望していたより布面積増えてますのよ」

「それで？？？」

ちなみにだが、八百万よりも布が少ない人がいた。

透明人間の葉隠である。というか、最早服を着ていないのだ。

いいのかそれで……と、Aはワイワイとコスチュームを褒め合うクラスメイトの中で困惑していた。