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7_後悔と責任 ページ8

『人を…襲った…。』


口の中がカラカラに乾いて、暑くも無いのに冷たい汗が流れた。

ああ、だから鎖で…。
私は自分に繋がれた太い鎖を見て、納得した。


『どの位…被害が?』


やっとの事で紡いだ言葉だった。
誰も怪我をしていないかもしれない。誰も死んでいないかもしれない。
そんな淡い希望を持っての言葉だった。

晴さんは藤士郎さんと目を見合わせる。藤士郎さんは小さく頷いた。


「…1人、死んで…5人、怪我を…。」


言いにくそうに晴さんは言う。

1人死んだ…。その言葉の重みが、私の涙腺を刺激する。

責任。後悔。絶望。

沢山の思いが渦巻いて、涙が溢れた。

私は…1人の人生を…未来を奪ったんだ…。
それだけじゃ無い。5人もの人の…心も体も傷つけてしまった。


『そ、う…です、か…。』


涙がとめどなく溢れ、それ以上何も言うことが出来なかった。
その様子を見ていた、晴さんも、藤士郎さんも複雑そうな顔をしてこちらを見ている。

「君は悪く無いから。」と慰めることも、「君は人殺しだ。」と罵ることもしなかった。

その優しさが今は痛かった…。


『私を…殺さないんですか?』


心からの疑問だった。ここまで鎖で繋いで、何故私を殺さないのだろうか。
人を襲った魔なんて、問答無用で祓われる筈だ。


「…実はね。Aちゃんには協力して欲しい事があるんだよ。」


『協力…?』


協力?
協力と聞いて頭をよぎったのは、危険な人体実験の様なものだ。

文句は言えないので、早くも実験台となる覚悟を決めてしまっていた。

そう思っていると晴さんが口を開いた。


「魔と人間の混血というのは今まででも研究例が少なくて、全然情報が見当たらないんだ。その為に、僕にAちゃんの事を研究させて欲しい。」


晴さんは真っ直ぐ私を見つめた。
その目から確かな意志を感じた。


『でも…私、人を殺したんですよ。それに、また暴れ出すかもしれない…。』

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景色_Δ(プロフ) - 仁乃さん» そうなんですか!?ありがたいです...様々なことが重なり、完結とさせていただきました!最後まで読んでくれるんですね!?ありがとうございます...!!! (2021年6月2日 22時) (レス) id: 1c54a3263e (このIDを非表示/違反報告)
仁乃(プロフ) - 景色_Δさん» あ、私もあなたの作品を一度読んだ事がありました!主人公の語り方が面白く、思わず見入ってしまっていたのを覚えています。完結していたんですね。今から最後まで読ませて頂きます! (2021年6月2日 22時) (レス) id: f8c4049ddb (このIDを非表示/違反報告)
仁乃(プロフ) - 景色_Δさん» コメントありがとうございます!喜んで頂けて嬉しいです。頑張ります! (2021年6月2日 22時) (レス) id: f8c4049ddb (このIDを非表示/違反報告)
景色_Δ(プロフ) - うわああああ!!!素敵な小説発見!!感謝ですー!!!更新頑張ってください!!応援してます!!! (2021年6月2日 19時) (レス) id: 1c54a3263e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:仁乃 | 作成日時:2021年5月30日 18時

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