6_信じられないけれど ページ7
『話…ですか。』
あまりにも深刻そうな2人の顔を見て、私は少し声を小さくしてしまう。
話、想像できるような、できないような…。
いずれにしても、いい話では無い事はこの様子から見て確実だった。
「単刀直入に言うとね、Aちゃんは魔と人間の混血だったんだよ。」
『魔と人間の…混血?』
混血?思っていた話とは少し違っていた。
てっきり、私自身が魔なのだと思っていたが…少し安心した。
「うん。君が眠っている間に君の血液を調べさせてもらったんだ。それで…これ分かりにくいかもしれないけど。」
そう言うと持っていた分厚いファイルの中から数値の書かれた資料を取り出し、見せてきた。
私はそれを手に取る。
「ここの数値見て貰いたんだけど…血液の内人間の血が56%、魔の血が44%含まれている事が分かったんだ。人間の血の割合の方が少し多いけど、ほぼ半分ぐらいって事かな。」
晴さんは指で分かりやすく示してくれる。
ほぼ半分が魔…。でもあんまり魔らしい所無いような…。
強いて言うならこの耳と尻尾くらいで、それ以外に変わった所は見られない。
『そう…ですか…。』
「まあ、ここまでは周りの人から聞いて知っていたかもしれないね。」
藤士郎さんが後ろから言う。
私はこの身体の本当の持ち主じゃ無いから分からないけど…もしかしたらこの子は、混血だから捨てられたのかもしれない。
そう思うとその無責任さに腹が立った。
…ん?ここまでは…?藤士郎さんの言い方に違和感を覚えた。
「うん…実は問題はそこじゃ無いんだ。」
すると晴さんはまた言いづらそうに、口をつぐみ、目をそらした。
そこまで言われると逆に気になってしまう。私は晴さんの顔を覗き込むようにして言った。
『いいです。言ってください。ちゃんと受け入れます。』
本心だった。正直、ここまでいろいろな事が起こりすぎて何が起きても驚かない自信があった。
それに、何か良く無い事を言われると、覚悟はしていたのだから。
「分かった。……Aちゃんは… 、」
息を飲んだ。決心したように晴さんは顔を上げた。
「昨夜、魔の血を暴走させて人を襲ったんだよ。」
何が起きても驚かないと思っていたのに…
目の前が暗くなった様だった。
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景色_Δ(プロフ) - 仁乃さん» そうなんですか!?ありがたいです...様々なことが重なり、完結とさせていただきました!最後まで読んでくれるんですね!?ありがとうございます...!!! (2021年6月2日 22時) (レス) id: 1c54a3263e (このIDを非表示/違反報告)
仁乃(プロフ) - 景色_Δさん» あ、私もあなたの作品を一度読んだ事がありました!主人公の語り方が面白く、思わず見入ってしまっていたのを覚えています。完結していたんですね。今から最後まで読ませて頂きます! (2021年6月2日 22時) (レス) id: f8c4049ddb (このIDを非表示/違反報告)
仁乃(プロフ) - 景色_Δさん» コメントありがとうございます!喜んで頂けて嬉しいです。頑張ります! (2021年6月2日 22時) (レス) id: f8c4049ddb (このIDを非表示/違反報告)
景色_Δ(プロフ) - うわああああ!!!素敵な小説発見!!感謝ですー!!!更新頑張ってください!!応援してます!!! (2021年6月2日 19時) (レス) id: 1c54a3263e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仁乃 | 作成日時:2021年5月30日 18時